2016 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザーによる金属薄膜の周期配列ナノ構造作製とその局在増強光利用の革新
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16J03565
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 康貴 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | フェムト秒レーザー / 金属 / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の初年度である平成28年度は、フェムト秒レーザーによる金属薄膜の周期配列ナノ構造作製を遂行した。具体的には、1. 白金薄膜へのフェムト秒レーザー照射による周期100 nm以下の周期細線構造作製および2. フェムト秒レーザーパルス数の増加による周期細線構造からナノ粒子への構造進展を実験的に確認した。1に関しては、白金薄膜へのフェムト秒レーザー照射により得られる細線構造の周期が膜厚により変化することを明らかにした。特に、膜厚24 nmの白金薄膜へのフェムト秒レーザー照射により、周期約54 nmの白金細線構造が得られた。これは、自己組織的に作製される周期細線構造に関する過去の報告事例と比較して、最も短い周期を有する構造であり、周期細線構造の生成原理解明に寄与しうる。フェムト秒レーザーパルス数の増加により周期細線構造からナノ粒子へ構造進展することを実験的に確認した。また、ナノ粒子が一列に並んでいるようすが実験的に観察されたことから、フェムト秒レーザー照射時に発生する熱力学的影響により細線が分裂し上述の構造進展が生じたと推察し、二温度モデルを用いた温度計算によりその推察に妥当性があることを確認した。さらに、照射レーザーパルス数の増加により生成ナノ粒子の平均粒径が増加することを明らかにした。これにより、生成ナノ粒子の粒径制御が一部可能である。細線構造の作製に関しては、金属薄膜を堆積させる基板材料が構造生成に与える影響についても研究を進めた。さらに、細胞刺激に向けて生体適合性の高い材料を対象としたレーザー微細構造作製技術の研究を進めた。周期配列ナノ構造を利用した細胞刺激自体の達成に加え、導電性を有する構造作製が必要であると考え、フェムト秒レーザー照射によるポリマーと金属の複合構造の作製にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白金周期細線構造から白金ナノ粒子への構造進展に関して、フェムト秒レーザー照射時に発生する熱力学的影響が寄与しうることを二温度モデルによる温度計算から明らかにした。さらに、フェムト秒レーザー照射により作製されるナノ構造の光学応用に向け、周期細線構造の周期およびナノ粒子の寸法が実験条件により変化することを明らかにした。以上の結果から、全体として概ね計画通りに研究を遂行できたと考え、順調に進展しているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、フェムト秒レーザーによる金属薄膜の周期配列ナノ構造作製およびそれを用いた細胞刺激を予定している。さらに、周期配列ナノ構造を利用した細胞刺激自体の達成に加え、導電性を有する構造作製が必要であると考え、フェムト秒レーザー照射によるポリマーと金属の複合構造の作製に関しても研究を進める。
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