2016 Fiscal Year Annual Research Report
国連外交の形成-連盟外交の遺産と戦後安全保障構想-
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16J03730
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
樋口 真魚 大東文化大学, 法学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 日本外交 / 国際連盟 / 国際連合 / 集団安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる2016年度は、当初の研究計画に従って、1930年代から占領期にかけての外交記録を中心として、国内外の公文書、私文書の収集・分析を進めた。そして、その成果の一部は、2017年1月7日に早稲田大学にて開催されたNew Directions in Historical Studies of the League of Nations: Perspectives from East Asiaで“The Rediscovery of Collective Security: Focusing on Japan’s Foreign Policy after the Withdrawal of the League of Nations”といったタイトルの口頭報告、および「国際連盟外交の終焉と連盟派外交官」(『国際比較政治研究』第26号、2017年3月)として、発表することができた。また、2017年2月には、特別研究員採用一年目の研究実施計画に記載した通り、アメリカ国立公文書館Ⅱにて1930年代から1950年代初頭にかけての国務省記録を閲覧・収集した。その結果、第一に当該期の国務省記録の残存状況を体系的に把握することができた。そして第二に、戦間期において国際連盟(以下、連盟)の非加盟国であったアメリカが連盟をいかに捉え、どのように関わろうとしていたかについて理解を深め、第三にアメリカ外交における対連盟政策と対国際連合(以下、国連)政策の連続と断絶についての一定の理解を得ることができた。 本年度の研究活動を通して、戦後日本における対国連政策や安全保障政策の起源を1930年代の対連盟政策に見出すことの有用性を再認識するとともに、日本外交史をよりグローバルな文脈から捉えなおす必要性を痛感させられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に取り組むことを予定していた研究課題については既に史料調査を行い論文執筆の段階に至っている。そのためほぼ計画通りに進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、引き続き海外での調査を実施したい。具体的には今年度調査を行ったアメリカのほか、スイス、オーストラリア、イギリスでの調査を検討している。また同時に、政治家や外交官のみならず国際法学者をアクターに組み込みつつ、対外政策の決定過程を検討したいと考えている。
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