2017 Fiscal Year Annual Research Report
模倣と模倣抑制訓練で脳内ミラーシステムの活動は変化するか
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16J04125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 悠貴 九州大学, 統合新領域学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ミラーシステム / 模倣 / 実行機能 / 抑制機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,他者の行為を観察したときに自動的に発生する脳内のミラーリング活動と,そのミラーリング活動の抑制に関わる脳活動について調べている。本年度は,平成28年度に実施した実験のデータ解析および第2実験が予定されていた。 年度初期には平成28年度に実施した第1実験のデータ解析と,第2実験の実験計画策定を行った。第1実験の結果から,模倣抑制訓練がその後のミラーシステム活動に影響を及ぼすことが示唆された。よって第2実験では,課題中のミラーシステム活動とミラーシステム活動を調整している脳活動の両方に着目した実験を策定した。 策定した実験計画に基づき,年度中期に第2実験の予備実験および本実験を実施した。先行研究の自動模倣抑制課題よりも複雑な指上げ課題を実験参加者に課したうえで,課題中の脳活動を多チャンネル脳波計で計測した。課題成績についても,指の動きを検知するセンサーを用いて計測した。条件は指が動く刺激映像を見ながら行う模倣条件と,黒点が上下に動く刺激映像を見ながら行う空間条件を設定し,クロスオーバーデザインで実施した。男女合わせて27名のデータを得たところで本実験を終了した。 年度の後半には,第2実験のデータを解析するとともに,刺激の提示割合を一部変更した第3実験も実施した。これは当初計画にはなかったが,より詳細にミラーシステムによる自動模倣と自動模倣抑制課題の関連を検証するために追加で実施した。こちらは男女合わせて23名のデータを得たところで終了とした。 得られた結果については,国内外の学術会議や学会で発表済みである。参加によって研究遂行に資する情報・コメントも得られている。今後はより詳細なデータ解析を行うとともに,早期の論文受理を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は実験の計画および実施に力を入れた一年となった。夏に第2実験を実施し,冬には追加の第3実験を実施した。第2実験では得られなかったデータも第3実験では得ることができたため,予定外の実験ではあったが追加で実施する価値があったと考えている。第3実験の実施によってデータ解析および論文執筆等に若干の遅れが生じているが,最終年度で取り組むことができるため,全体の研究遂行には問題のないレベルであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定された実験はすべて終了しているため,3つの実験で得られたデータ解析と,なるべく早い論文受理を目指す。加えて国内外での成果発表も並行して行っていきたい。
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