2016 Fiscal Year Annual Research Report
有理Gorenstein特異点とそのクレパント解消についての研究
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16J04485
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山岸 亮 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 商特異点 / クレパント解消 / シンプレクティック特異点 / cubic 4-fold |
Outline of Annual Research Achievements |
まずは前年度に得られていた商特異点についての結果を改良した。内容は次のように大まかに3つに分かれる。1つ目は商特異点がクレパント解消を持つための必要条件を与えたことであり、これはシンプレクティックの場合に知られていたことの一般化になっている。2つ目は商特異点の極小モデルのCox環を計算するアルゴリズムを与えたことであり、これによって与えられた商特異点の極小モデル(または存在すればクレパント解消)を理論上は計算できる。(ただし計算量が多く、実際に計算するのは容易でない。)3つ目はCox環の記述を用いていくつかの商特異点がクレパント解消を持つかどうかの判定をし、すでに知られている結果と合わせてsymplectically imprimitiveと呼ばれる種類の商特異点でクレパント解消を持つものの分類を完成させた。 5月にはこの結果について日本大学の特異点論セミナーで発表した。 9月以降は単純特異点を持つcubic 4-foldについての研究を行った。cubic 4-fold上の直線のモジュライ空間がシンプレクティック特異点と呼ばれる種類の特異点を持つことはすでに知られていたが、その同型類をcubic 4-fold上の単純特異点のタイプごとに特定することができた。クレパントな特異点解消を考え、そのファイバーを向井フロップを用いて計算することで、その特異点が特異曲面上の二点のヒルベルトスキームが持つ特異点と同じになることがわかった。さらに、同様の方法を用いることでその特異点がSlodowy sliceという既知の特異点とも同じになるということもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
商特異点のクレパント解消についてある程度まとまった結果を発表できたことや、cubic 4-foldの研究についても新たな結果が得られたことは評価できると思われる。また、シンプレクティック特異点をクレパント解消のファイバーに着目して調べるという、新しい手法を考案したことからも研究はおおむね順調であるといってよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
「cubic 4-foldに付随する他の多様体がどのような特異点を持つか」や「一般にシンプレクティック特異点のクレパントな特異点解消のファイバーがその特異点を決定するか」など考えるべき問題はまだまだあり、これまでに得られた結果やテクニックを使用して今後も引き続きこういった問題の解決に取り組んでいく予定である。
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