2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J04534
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
萩藤 大明 神戸大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 日米安全保障条約 / 日米関係 / 政策決定過程 / 二つの中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる平成28年度は研究計画に沿って、日米安全保障条約改定の成立過程とその役割について、米国の東アジア政策(地域情勢、国内政治、軍事)から再考察する研究に取り組んだ。この取り組みは、平成29年度も継続予定である。本年度、国内では国立国会図書館、外務省外交史料館等の施設を中心に資料を閲覧、記録した。また米比、米韓、米華相互防衛条約ほか、太平洋安全保障(アンザス)条約と日米安全保障条約との比較検討等のため、米国や、ニュージーランド、豪州での資料調査を実施した。また英国の資料も閲覧、記録した。 平成28年5月の韓国国際政治学会フォーラム(延世大学)においては、日中韓三ヶ国の集団的自衛権に関する歴史的背景と比較について報告し、9月にはヨーロッパ日本研究協会日本会議(神戸大学)で米国の対中政策と日米安保改定について、軍事外交面から考察した。その分析結果の一部として、1950年代後半から韓国と台湾は、早くも自らの政権維持や経済援助を米国に求め、フィリピンや豪州は大陸中国との経済問題への関心から、必ずしも米国との安全保障政策において協調体制を取ったわけではなかったことが判明した。 こうした資料調査や学会報告でのフィードバックを得た上で、米国にとっての安保改定が在日米軍基地の安定的供給につながるだけでなく、「二つの中国」問題に対応するための東アジア地域の安全保障体制確立の一部であったとする本研究の着想に自信を得た。このように、外交史的アプローチから従来の安保改定に関する日米の政治的要因に加え、基地使用という軍事的合理性を追求する米軍部や、東アジア全般の外交政策を担う国務省の視点に注目して、各政策決定機関の姿勢変化の解明に迫る点が本研究の特徴である。以上の研究を踏まえて、次年度以降に博士論文として研究成果をまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎となる資料の所在をおおむね把握し、読解と分析が順調に進んでいる。本年度における学会誌等への発表は、各国資料の分析に集中したために成果をみないが、長期的な題材に取り組んでおり、本年度前半期に査読付き論文の投稿を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の史料収集の成果から完成した論文を随時、関連ジャーナルへ投稿する予定である。ただし、研究成果の取りまとめとしての博士論文の構成には、なお検討中である。研究計画はおおむね順調に進んでいるため、論文の投稿、在外研究を含めて国内外の他分野の研究者と積極的に意見、フィードバックを得た上で構成を固める。
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Research Products
(3 results)