2016 Fiscal Year Annual Research Report
糖代謝改善を目的とした新たな運動処方の開発 -IGF1に着目して-
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16J04546
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木戸 康平 立命館大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | レジスタンス運動 / 有酸素性運動 / 糖代謝 / 骨格筋 / IGF-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,非薬理的糖尿病予防・改善法として,有酸素性運動とレジスタンス運動の併用が推奨されている.一方で,レジスタンス運動による糖代謝改善メカニズムが不明確である為に,効果的な運動の組み合わせ方が示されていない.そこで本研究では,レジスタンス運動による糖代謝亢進メカニズムをIGF-1やその他重要因子に着目し,分子レベルで明らかにすることを目的とした.具体的には,以下に示す研究及び実験系の立ち上げを行った. 1.糖尿病モデル動物(ストレプトゾトシン誘導性)に対するレジスタンス運動が糖代謝及びその制御因子に与える影響を検討した.その結果,レジスタンス運動によるIGF-1シグナルの活性は,糖尿病罹患時も健常時と同程度増加することが明らかとなった.さらに,他の糖代謝制御因子の応答も同時に確認したところ,糖尿病罹患時特異的な応答を示すシグナルの存在が明らかとなった.この結果を元に,今後はIGF-1シグナルのみならず,その他の糖尿病罹患時に特異的応答を示すシグナルにも着目して研究を進めていく. 2.レジスタンス運動による糖取り込みの亢進に貢献度の高い分子シグナルを同定するために,IGF-1やその他重要シグナルを遺伝子工学的手法にて阻害または欠損させる実験モデルの確立を行った.本モデルを使用することで,レジスタンス運動後の糖代謝亢進を強く制御しているシグナルを同定することが出来る. 3.高脂肪食摂取による肥満誘導性糖尿病モデルの確立を行った.さらに,予備的に2型糖尿病モデル動物に対して,単回のレジスタンス運動を実施し,その後の分子シグナル応答を確認した.本予備的検討によって,本実験にて2型糖尿病モデル動物に対するレジスタンス運動効果やその分子機序を明らかにする基盤が構築された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,糖尿病モデルに対するレジスタンス運動が分子シグナルに与える作用を解明し,分子機序の全貌を明らかにする足がかりを築くことが出来た.さらに,各シグナル活性を阻害・欠損させるモデルや2型糖尿病モデルを構築したことで,今後,レジスタンス運動後の糖代謝亢進に対する重要制御因子を直接的に同定する準備が整った.上記の理由から,順調に研究が進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画通り,野生型及び2型糖尿病モデルマウスに対するレジスタンス運動後が,糖代謝を亢進するメカニズムを,遺伝子工学的手法を用いて詳細に解明していく.さらに,動物実験にて分子機序を解明した後,ヒト実験にて同様の応答が確認されるかを解明する.
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