2018 Fiscal Year Annual Research Report
エスニック空間をめぐる戦略的都市経営と社会・文化的機能の変化
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16J05631
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
清水 沙耶香 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 客員研究員
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 都市 / 移民 / エスニシティ / イタリア系移民 / カナダ / トロント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)エスニックな要素で特徴づけられた空間(以下、エスニック空間)が移民の相互扶助の場から観光地へと変化するメカニズムの考察、2)そうした変化において生じる問題の検討、3)論文投稿による成果発表、の3点を中心に研究を進めた。 1)については、リトル・イタリー地区に対する社会的認識は、1960年代までの負のイメージから1970年代のファッショナブルなイメージへとその認識が変化していたことが確認できた。このことから、同地区に対する社会的認識の変化が観光地化を可能とする素地になったといえ、さらにそうした素地はその後の同地区の都市経営的動きの展開をも生じさせたと考えられた。都市経営的動きをめぐっては、同地区の1985年のBusiness Improvement Area(以下、BIA)の加盟が地区のイタリアを主題とするまちづくりの契機となったと既存研究で指摘されてきた。しかし、BIAの設立は重要な契機ではあるものの、本研究の分析によると現実にみられる空間の変化はより漸次的に生じていたことがわかった。 2)については、既存研究においてエスニック空間の観光地化は特定のエスニシティが選択的に観光地化されていると指摘されてきた。本研究の分析からは、観光地化をはじめとする都市経営的動きの展開を引き起こすには、それを可能とさせる社会的認識という素地が重要である点が明らかとなった。一方、エスニック空間を構成する主体の入れ替わりも生じている。背景には、観光地化にともないリトル・イタリー地区の商業地としての価値が高まったことでイタリア系以外の多様な店舗経営者が同地区に流入したことが指摘できる。同地区は都市計画上はイタリア系エスニック空間として維持されているが、実態はイタリア系経営者離れという乖離が生じている。 3)については、1)2)の内容をまとめ国内誌・海外誌へ論文として投稿準備中である。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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