2016 Fiscal Year Annual Research Report
Learning promotion system with emotional support of huggable communication media
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16J05713
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 惇也 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 抱擁型コミュニケーションメディア / 安心感 / 読み聞かせ / 児童教育 / 寝かしつけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、抱擁型コミュニケーションメディア(ハグビー)への抱擁がもたらす話への集中効果の生起条件や学習への影響を詳細に調査することで、聞くことを促進するメカニズムの理解と集団授業時の児童の話を聞く能力の支援とそれに伴う学力向上を目指している。今年度は、コミュニケーションメディアへの抱擁がもたらす話への集中効果の有効性や生起条件について、児童への読み聞かせでの事例研究や実験室実験で検証した。また、より使いやすいデザインを目指して装置の改良を行った。さらに、それらの結果から推測される生起条件から、他の場面での応用を検討した。 3つの児童への読み聞かせの事例研究では、コミュニケーションメディアへの抱擁がもたらす話への集中効果の有効性と生起条件の推測を行った。それらの結果から、抱擁型コミュニケーションメディアは、児童に聞く態度を促す支援システムとして有効であること、同部屋複数グループでの読み聞かせが可能であること、使用者自身に安心感や落ち着きをもたらすことにより、児童の聞く行動を支援していることが示唆された。以上の成果は、国際論文誌Frontiers in Psychologyに採録された。実験室実験では、抱擁型コミュニケーションメディアは、そこから感じる対話相手の存在感が、使用者の注意を引き付け、聞くことを促しているかどうかの検証を行い、仮説の否定が示唆された。また、メディアを使用中の脳波を取り、データ解析を行い、その結果、メディアの使用中には脳の新規性を感知する部位が有意に反応していることがわかってきた。装置の改良では、児童の荒い使用により装置が分離してしまう点、音質が悪い点、試用手順が複雑な点を改善した。また、派生研究として、安心感や落ち着きが児童の快眠につながると考え、保育園の昼寝の活動にハグビーを導入し、通常の昼寝と記録したビデオから調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な目標は、抱擁型コミュニケーションメディアへの抱擁がもたらす話への集中効果の生起条件や学習への影響を調査することである。国際論文誌Frontiers in Psychologyに採録された児童への読み聞かせの事例研究からは、集中効果の有用性が明らかとなった。また、そのメカニズムについて言及が行えている。さらに、そのメカニズムについて追加の実験実実験で確認を行っており、調査は確実に進捗していると言える。また、それらのメカニズムから考え得る新たな応用研究にも取り組んでおり、研究のさらなる広がりが期待される。しかし、生起条件(インタフェースのデザイン)に関しては言及されておらず、来年度の進展を望む。一方で、来年度の目標である長期実験・改良にすでに取り組みを始めており、順序に前後はあるものの総合的に概ね順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の進捗を踏まえ、話への集中に対する人を抱きしめている触感の影響を調査する。被験者には 2 人の話者の音声を同時に聞かせ、一方の話者の話を注意して聞くよう指示する。ハグビーを抱きながら対象の話者の音声をハグビーから聞いた場合、ハグビーを抱くがハグビーから音声を聞かない場合、ハグビーを抱かずイヤホンから対象の音声を聞く場合で話題の内容の記憶度合による集中度合いの評価に取り組む。メディアを使用中の脳波のデータはすでに取集しており、メディアの使用中には脳の新規性を感知する部位が有意に反応していることがわかってきた。この反応が、メディアの初使用の効果か、もしくはメディアを使用すると必ず起きる反応であるかを実験室実験にて突き止めていく予定である。また、長期実験についてもすでに取り組みを始めており、データ解析を行い、まとめ、論文化する予定である。
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