2016 Fiscal Year Annual Research Report
地方における国民的歴史学運動の実態と継承に関する研究
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16J05914
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高田 雅士 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 国民的歴史学運動 / 文化運動史 / 史学史 / 地域史 / 1950年代論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、研究対象地での調査を中心的に進めた。京都府南山城地域の青年層によって結成された城南郷土史研究会に関する調査も、当事者からの聞き取りなどを中心に進めた。この成果は、「1950年代前半における地域青年層の戦後意識と国民的歴史学運動―城南郷土史研究会を対象として―」と題して論文化し、日本史研究会の会誌『日本史研究』の査読を通過することができた。1950年代前半の青年層は、戦争体験を根底とする平和で自由で民主主義的な社会に対する意識や、女性解放の理念といった戦後意識を抱いており、そうした意識にもとづいて青年団運動や文化運動を精力的におこなっていた。従来、国民的歴史学運動は、地域にオルグとして入った歴史研究者や学生の視点から語られることが多く、地域の側の主体性は史料的制約もあって十分に論じられてこなかった。しかし、城南郷土史研究会の事例をとおして、地域の側には先述したような国民的歴史学運動を受け入れるだけの基盤があったことをこの論文では明らかにした。 また、民主主義科学者協会奈良支部で国民的歴史学運動を指導した奥田修三の自宅(京都府宇治市)に所蔵された「戦後初期奈良民主主義文化運動史資料」の整理では、写真データによる記録と目録の作成をおこなった。さらに、奥田修三の自宅には、彼の長年に渡る日記も残されており、これまでの先行研究を乗り越えることが可能な史料が大量に所蔵されている。平成29年度中にこうした成果を論文化し、学会誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、奥田修三の自宅に所蔵された「戦後初期奈良民主主義文化運動史資料」などの整理を進めることができたことは成果である。また、それに加えて城南郷土史研究会に関する調査の成果を論文としてまとめることができ、学会誌の査読を通過したことは重要であると認識している。 しかし、研究計画にあった、岡山と秋田をフィールドとした調査はまったくおこなうことができなかった。要因としては、奈良や京都での調査や論文化の作業に時間を取られてしまったことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、早急に奥田修三に関する研究論文をまとめることにある。奈良・京都での調査に早めに目途を付けることで、岡山や秋田をフィールドとした調査・研究を進めていきたい。 また、地域を対象とした研究だけではなく、国民的歴史学運動をめぐる言説の整理や、民主主義科学者協会の本部における動向を整理しておく作業も進めていきたい。要するに、これまで進めてきた個別事例の分析を、国民的歴史学運動全体のなかに位置づけていくような作業も検討している。
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Research Products
(2 results)