2018 Fiscal Year Annual Research Report
地球型惑星の初期進化統一モデルの構築:表層環境の多様性の予測とその起源の理解
Project/Area Number |
16J06133
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
濱野 景子 東京工業大学, 地球生命研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化還元度 / マグマオーシャン / 初期大気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,揮発性元素のやり取りと大気による保温効果のフィードバックを考慮し,水素-水蒸気大気の形成・進化とマグマオーシャンの固化の結合モデルを開発,両者の進化について調べた.溶融度が高く激しく対流しているマグマオーシャンの熱フラックスは,地表の放射バランスで律速される.そのため,固化の過程での大気の量と組成はマグマオーシャンの熱史に影響を与える.本研究で開発したモデルでは,水素と水蒸気の脱ガス過程,マグマと大気間の酸化還元反応,水素の大気散逸の過程を組み込み,固化の過程での大気の保温効果を評価している. 地球軌道で惑星進化計算を行った結果,惑星が初期に獲得した水量,あるいは総H量(水素と水の合計)どちらを固定しても,初期に還元的であった方が固化時間が長くなることが新たにわかった.これには2つの理由が考えられる.一つは,還元的で大気組成が水素に富む結果,大気上層での水蒸気の凝結による潜熱の効果が弱まり,惑星放射が弱くなる場合があることである.例えば地表温度が1,500Kで地表大気圧が数十barを超える場合,強い吸収係数を持つ水蒸気よりも,水素に富む組成の方が温室効果が強くなる.もう一つは,水素と水とでのシリケイトメルトへの溶解度の違いの結果,溶解度の低い水素に富む方が,初期から厚い大気を形成することが挙げられる.近年,地球化学的な研究により示唆されるように巨大衝突後に還元的な天体が衝突する場合,還元的な大気組成が保たれ惑星の固化を遅くする効果がある.地球軌道で,現在の地球と同程度の水量・マントル中のFeO量を制約とすると,地球の固化率は一千万年以下となる.これは巨大衝突段階後期の典型的な衝突間隔と比べると短く,原始地球が現在の地球と同様の惑星であった場合には,月形成巨大衝突は固化した状態で起こったと推測される.これは月を形成した物質の起源について大きな示唆を与える.
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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