2016 Fiscal Year Annual Research Report
選択者とコルモゴロフ記述量による乱択計算の限界解明
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16J06743
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平原 秀一 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 計算量理論 / 回路最小化問題 / コルモゴロフ記述量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主要な研究成果として、計算量理論においてトップクラスの会議であるCCC(Computational Complexity Conference)にて発表した回路最小化問題に関する研究がある。回路最小化問題は本研究の課題の一部となっているコルモゴロフ記述量と深い関係がある。回路最小化問題とは、実現したい関数の真理値表が与えられた時に、その関数を実現するための最小の回路サイズを答える問題である。この問題の歴史は古く、回路最小化問題がNP完全かどうかは 1970 年代頃から重要な未解決問題として残っている。CCCにて発表した我々の研究成果により、回路最小化問題の NP完全性を示すことが難しいことについて、明確な根拠を与えた。具体的には、現在の典型的な証明手法を捉える「オラクル独立帰着」という概念を新しく提案し、そのような手法では、回路最小化問題が NP完全であることを証明できない、ということを示した。 また、アメリカ合衆国ニュージャージー州にあるラトガース大学を一ヶ月半訪問し、本研究課題に関する共同研究として、コルモゴロフ記述量と回路最小化問題について研究を行った。共同研究の結果、本研究課題の主要な目的であるコルモゴロフ記述量による乱択計算の特徴付けについては、一定の新しい知見を得ることができた。また、回路最小化問題については多くの成果を得ることができたため、その成果を国際会議に現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、二年目にラトガース大学を訪問し共同研究を行う予定であったが、研究の進展に伴い初年度に訪問することが適当だと判断し、予定を前倒しにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、回路最小化問題を研究することによって得られた知見をコルモゴロフ記述量に対して応用することを目指す。同時に、制限された回路クラスに対して下界を示すことを試みる。
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Research Products
(4 results)