2016 Fiscal Year Annual Research Report
電力制度に関するインフォーマリティー-フィリピンにおける「盗電」を事例に-
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16J06797
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 慎司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | マニラ首都圏 / 地域研究 / 開発研究 / 電力制度 / インフォーマリティー / 盗電 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は主に、以下の二点に関して行った。①これまでの研究(修士論文)の内容をブラッシュアップしたうえで、学会発表を行う。②博士論文執筆にあたって行うフィールドワークに向けての予備調査を行い、研究仮説を立てる。 ①に関しては、日本語学会での口頭発表と、台湾における英語学会での口頭発表(ペーパーの提出あり)をそれぞれ1件ずつ行った。特に、英語での口頭発表では、若手最優秀論文賞を受賞し、高い評価を得た。 現在は、これらの発表に対するフィードバックを反映させながら学会誌に論文として投稿する準備を行っている。投稿先は、地域研究や発展途上国開発研究に関する、日本語誌の英語誌の二つを考えている。 ②に関しては、フィリピンのマニラ首都圏にあるスラム地域に2016年8~9月と2017年2月に訪れ、調査候補地のコミュニティの中に位置する、一つの家に住み込みんで予備調査を行った。具体的にはコミュニティの200強の世帯を訪問し、インタビュー、家計調査を行い、各家庭の電力の利用形態や電力に割く予算を調べることができた。また、ミンダナオ島の電力会社の職員の方にもインタビューをし、フィリピンの電力産業における政府と電力会社と電力ユーザーの間の関係性に関して知見を得た。 これらのデータから、電力やその違法利用をめぐる政治経済学に関する基本仮説を立てることができた。来年度以降は、フィールドにおける本調査をベースにこの仮説を検証・修正していくことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において本年度予定していた、これまでの研究成果に関するの学会での発表、研究対象地域で予備調査を行うこと、の両方とも大きな問題なく達成することができた。 特に、後者の予備調査では、調査候補地を訪れて試験的なフィールドワークを行った結果、質的研究の対象地として問題ない地域であるということが判明した。また、地域の人とのコネクション作りも行い、来年度以降の本調査を円滑に行う準備を整えてある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策としては、予定通り以下の二点を予定している。 ①学会等で得た自分の研究に対するコメントを元に、論文を学会誌に投稿すること。 ②マニラ首都圏の調査地で本調査を行い、仮設の検証を行う。 ①に関しては、現在論文を執筆中である。論文の投稿先となる雑誌も検討中である。 ②に関しては、フィリピンの大学に留学をし、現地の研究者と交流をしながら、調査地においてフィールドワークを行う予定である。現在、フィリピンの中の大学に在外研究員として滞在するために、資格を申請中である。本調査では、昨年度の仮調査で得た基本仮説を、質的・量的データを収集することで検討していく。
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