2017 Fiscal Year Annual Research Report
電力制度に関するインフォーマリティー-フィリピンにおける「盗電」を事例に-
Project/Area Number |
16J06797
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 慎司 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 開発研究 / 政治経済学 / インフォーマル / 貧困層 / 盗電 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、7月からフィリピンのAteneo de Manila大学に研究員として滞在し、現地調査を行った。本来ならば、4月ごろから調査を開始する予定であったが、受け入れ先の大学とのやり取りなどに時間がかかり、3ヶ月ほど遅くなった。この調査は、来年度の6月まで行う予定である。主な研究内容としては、(1)資料収集、(2)調査地における世帯調査、の二つに分けられる。 (1)の資料収集に関して。フィリピンの貧困層や電力利用に関する専門的な文献に加え、フィリピンの大学に提出された学位論文や、電力会社や水力会社の資料などを収集した。必要な資料に関しては、おおむね順調に収集することができた。 (2)の世帯調査に関して。調査地において、「盗電」に対する規制が行われる予定であり、その規制が導入される過程を観察することが当初の目的であった。しかし、予定が変更され、今回の滞在中には規制が導入されないこととなった。そこで予定を変更し、既に規制が導入された近隣地域と、まだ導入されていない地域の比較を行うことで、規制導入の影響を探ることにした。二つの地域、それぞれ150世帯ほどに対して調査を行う予定である。今年度は、既に規制が導入された地域に対する調査がおおむね終了した。 マニラの貧困層の生活に関する詳細な研究を見てみても、電力利用に関する社会科学の視点からの研究はあまり見られず、マニラの貧困層研究に関する新たな知見を見出すことが出来るだろう。 また、(2)において多少の予定変更が生じたものの、調査目的である規制による影響に関する考察は、達成が可能である見込みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、フィリピンにおいて在外研究を行うことを予定していた。所属先の大学との手続きなどの関係により、3ヶ月ほど時期は遅れたものの、渡航、調査を行うことが出来ている。 調査内容に関しては、当初はある地域内に盗電規制が行われることが予定されており、盗電が可能であった時期と、不可能になった後の変化を観察する予定であった。しかし、調査を始めると、調査地において行われる予定であった盗電規制が、予定変更により行われなくなったということがわかり、予定を変更せざる得なくなった。そこで、盗電の規制が既に行われている近隣地域への調査の可能性を模索し、そこでの調査が可能となった。当初の目的であった規制の有無による比較は可能である見込みである。 このように、多少の予定変更はあったものの、研究の目的は達成できる見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度の6月までは、引き続きフィリピンにて調査を行う予定である。調査では、まだインタビューを終えていない約150世帯に対するインタビューを行う。そして、そのデータをまとめ、所属先であるAteneo de Manila大学において研究発表を行う。そこで、フィリピンの貧困層研究の専門家からのフィードバックをいただき、研究のさらなる向上を図る。 帰国後は、調査結果を論文にまとめ、学術雑誌に投稿する。そして、学術雑誌に投稿する論文と平行して、博士論文の執筆を行う。その過程において、不足しているデータなどが見つかれば、8月や9月に短期でフィリピンに渡航し、追加調査を実施する。 また、当初調査することを予定していた、盗電を防止する規制が調査地にて行われることがわかった場合は、それに関する調査を行い、論文に反映される。
|