2016 Fiscal Year Annual Research Report
参加型センシングとセンサデータを用いた都市コンテクスト理解と予測手法の研究
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16J06856
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河野 慎 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 深層学習 / マルチモーダル学習 / Twitter |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,参加型センシングによって取得されたデータを用いた都市コンテクスト理解を研究し,その結果を論文及び口頭で発表した. 参加型センシングのデータとして,Twitterサービスで位置情報と画像が付与されて投稿されたツイートを用いた.対象とする都市コンテクストとして,ユーザの位置を選択した.ユーザの位置が推定可能になることで,都市において集まってきている人についての理解や,起きている事象について理解が促進されると考えられる.任意のツイートにあらかじめ付与されている位置情報から都道府県を割り当て,この都道府県を推定するタスクとして取り組み,用いるデータについて2種類の方法で研究した. 一つ目は,ツイートのテキスト情報のみで位置推定を行う方法である.テキストには,明示的に東京や横浜など地名を示す単語が含まれているものから,全くそのような単語が含まれていないものまで,多様な表現がある. 従来の手法では,予め単語と位置を紐付け・マッピングされた辞書をコーパスから人手によって作成し,この辞書を用いていた.本研究では,この従来の人手による手法ではなく,深層学習の一つである理カレントニューラルネットワークを適用し,その有用性について分析を行い,評価した.この結果を論文としてまとめ,人工知能学会論文誌に採択された. 二つ目は,一つ目のテキスト情報のみによる位置推定を拡張し,テキスト情報に加えて画像情報を用いる方法である.テキストだけでは位置を推定できないものがある一方で,人間であれば,そのテキストと画像を組み合わせることで,その位置を推定できることに着目した.本研究でも深層学習を適用し,その有用性について分析,及び評価を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の予定では,データの収集及び分析などの準備であった.実際に収集するためのプラットフォームなどの整備は少しずつ進めているが,都市の情報収集は少し遅れている.この原因としては,収集が可能なデータの選定があまり効果的に行えていないことが挙げられる. また都市に関するデータがあまり収集できていないため,これらのデータにアノテーションを行うWebアプリケーションの実装にも着手できていない. 一方で,ユーザに関する情報を収集する工程は,概ね順調である.こちらの方は,都市と異なり,スマートフォンやウェアラブルデバイスを使用することを前提にしているため,収集可能なデータがあらかじめ決まっているため,収集をすることができている. データの分析については,Twitterから都市の位置などについて推定する研究を本年度に行ない,論文化し,無事に論文誌に採択された.しかしながら,異種データの統合技術の研究については,研究し,結果は出たものの,国際学会に投稿したところ,残念ながら採録されなかったため,当初の予定からはずれてしまっている.また国内の論文誌などにもできていないことが遅れている原因となっている. また都市のコンテクストに関する研究や,異種データを統合的に利用することを可能とする手法に関する文献の調査及び精読については順調であり,実際に再現実験などを通して,その技術・手法の有用性について検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,異種データを統合的に扱う手法に関して,まず国内の論文誌に投稿する予定である.この論文誌が採録されたのちに,国際学会などに投稿することを予定している. 計画では,最初から都市に対して,提案モデルを適用することとになっているが,ひとまず提案モデルをユーザ一人当たりに適用し,そのモデルの有用性について検証し,その結果を論文投稿する予定である.その後に実際に都市に関して収集されたデータを用いて,提案モデルを適用する予定である.そのために,まずはユーザ一人のコンテクスト理解がどれほど可能であるかについて,分析を行う必要がある.その中で有用であると仮定できるものについて,深層学習のすでに提案されているモデルを適用して,実験し,その結果を踏まえて,自身で新しいモデル及び手法を提案する方向で研究を進めていく予定である. そして適宜,これらの結果をもとに論文にまとめ,国際学会への投稿や,研究会への参加などをしていく予定である.
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