2017 Fiscal Year Annual Research Report
参加型センシングとセンサデータを用いた都市コンテクスト理解と予測手法の研究
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16J06856
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河野 慎 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 深層学習 / 二値化ニューラルネットワーク / 道路診断 / エッジシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,物理センシングによって取得されたデータを用いた都市コンテクスト理解を研究し,その結果を論文投稿および口頭で発表した.
ゴミ清掃車などの公用車の車載カメラを通した道路の損傷箇所の検出が可能となれば,市にある道路の空間的な網羅が可能となり,またゴミ回収業務の傍らに点検できるため,毎日(平日)の定期点検が可能となる.本研究では,画像に含まれる道路損傷箇所の発見を物体検出問題とみなし,ニューラルネットワークを用いた手法をCityInspector に採用する.物体検出問題とみなすことで,異なる組織が管理している道路標示を識別しながらの検出が可能となる. 実際のエッジデバイスでの動作を想定し,水冷GPUシステムを利用して実際のドライブレコーダの映像を学習させ,道路の損傷検出に取り組んだ.実験では,検出速度の比較などを行いつつ,手法の有効性について検証し,その結果を発表した.今後は,実験で得られた知見や発表の際に得られたフィードバックを元に改善していく予定である.
また,深層学習を用いたエッジシステムを構築していく上で,パラメータ数の多さ,そして計算量の大きさが問題となる.そこで本研究では,深層学習のパラメータやデータを二値化する二値化ニューラルネットワークの研究を行った.二値化ニューラルネットワークの実現によってモデルの容量は最小で1/32になり,速度も最大58倍になることが期待される.実験では敵対的学習による精度の向上を目指し,改良に取り組んだ.今後,この研究をより汎用的にするための研究を進めていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スマートシティ実現に向け,都市全域での状況を理解するため,ゴミ清掃車のドライブレコーダに着目し,実際に道路の状況を理解する手法を検討,提案することができたことは当初の計画通りであるといえる.そしてこの結果を当初計画していたトップの国際会議ではないが,国際会議に投稿しており,順調であるといえよう.さらに当初のスマートシティを実現するためだけではなく,理論的に非常に汎用性が高い二値化ニューラルネットワークに取り組んだことは,計画以上の進展であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
深層学習を用いて都市の状況を理解するために提案した手法を実際にゴミ清掃車でも動作を可能にするため,今後は専用のデバイスを開発していくことが必要であると考えている. また,そのほかの共著で行っているスマートシティの研究と自身の研究を統合し,都市全体での状況を理解するためのシステムの開発が可能となるような開発環境の構築が必要であると考えている. 以上のことから,今後の研究の推進方策として,より実社会実装を目指し,専用のエッジデバイスや従来の大学や企業だけではなく,行政や市民が積極的に参画が可能となるような開発環境・プラットフォームの構築があげられる.
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