2016 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ・ポーランド境界地域の研究―第一次世界大戦後のオーバーシュレージエンを例に
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16J06917
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
衣笠 太朗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 中東欧史 / 境界地域 / シュレージエン / シロンスク / ドイツ史 / ポーランド史 / 近現代史 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究目的は、「オーバーシュレージエン人同盟/グルヌィシロンスク人同盟」という組織に着目することで、近現代ヨーロッパの文化・言語境界領域に居住していた人々の主体的な動きや対応の一端を明らかにすることである。私の主要な研究対象は近現代のドイツ・ポーランド境界地域であり、それに関して、当該年度では主に上記組織に関連する文献や史料の収集を実施した。「研究実施計画」に基づき、ナショナリズム、中東欧史、オーバーシュレージエン史の研究書を網羅的に購入した。また8月のドイツ渡航の際には、ベルリンとマールブルクの文書館・図書館において、欧語で書かれた関連史資料を収集した。2月のポーランド渡航中には、私の研究領域における先行研究者であるヴロツワフ大学のトマシュ・プシェルヴァ氏と面談を行い、多くの有益な助言を得ることが出来た。その際にも、ヴロツワフ大学の図書館において、オーバーシュレージエン史に関する現地資料を収集している。 それ以外にも、研究を円滑に遂行するための機材などを購入した。大量の文献収集を速やかに実施するために、スキャナーや高性能PC、PDFデータ編集・閲覧ソフトを研究用に導入した。それによって膨大な文献の電子化やPC上でのデータの活用が容易になり、多数の史資料を短期間に解読することが可能となった。 また研究成果を研究会などで発表するために、数度の出張も実施した。8月には長野県小谷村で開催された「ポーランド史研究者集会」に参加・発表し、9月にも神戸市で催された「東欧史研究会・ハプスブルク史研究会合同例会」において、研究成果の報告を実施している。 以上の科研費に基づく研究の進捗により、現在申請者は2本の研究論文の投稿を準備している。今後の進捗にも寄るが、これらの研究論文は平成29/30年度にも学会誌に掲載されるよう、投稿に向けた作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、当該年度においては史資料の収集を実施したが、それらの計画は予定通りに進捗した。第二に、研究に必要となる機材(PC、ソフトウェアなど)の購入も順調であった。第三に、研究成果を発表するための学会・研究会参加も、数度実施することが出来ている。最後に、当該年度における研究成果の投稿論文化も、現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度における研究課題の推進方策は、基本的には昨年度の研究計画を踏襲する。まず私の研究課題である「第一次世界大戦後のオーバーシュレージエン分離主義組織(オーバーシュレージエン人同盟/グルヌィシロンスク人同盟)」に関する研究成果の投稿論文化を進める。そのために、平成28年度において収集した史資料の読解を実施する。 平成29年度の研究計画において、最も重要となるのは、6月から翌年3月までを予定しているポーランドでの研究滞在である。これは特別研究員DC2の「研究指導委託」制度に基いて実施されるもので、その期間中は主にヴロツワフ大学において、現地研究者との連携を図りつつ、当該研究課題の進展を目指す。特にヴロツワフ大学図書館及び近隣のシロンスク図書館には、膨大な数の関連研究文献が所蔵されており、それらを活用した研究の飛躍的な発展が期待される。
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Remarks |
申請者の所属する東京大学日独共同大学院プログラムのウェブサイト。
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