2016 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-zone sound field reproduction based on High-Order Ambisonics
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16J07287
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 拓 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 高次アンビソニックス / 球面調和解析 / 音空間共有型音場合成法 / 音空間共有型球面波音場合成法 / 音場再現 / 3次元音響 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,高い臨場感を実現できる情報通信技術の要求が高まっている.これを実現するために,3次元音空間を高精度に再現・合成可能な音響技術が重要視されている。この技術の一つとして,高次アンビソニックスがあげられる。この手法は球面調和解析を基盤としており,他の手法と比較し,音空間の収録および再現・合成を効率よく実施できる。しかし,複数の聴取者に対応できないという問題を有する.本研究は,高次アンビソニックスの複数人対応化を目指すものである。 平成28年度は,再現・合成部分を主眼とし,複数人対応化を図った。初めに,以前に提案した,球面調和解析に基づいた複数領域音場再現法(音空間共有型音場合成法と命名)の改善を試みた。音空間共有型音場合成法は,平面波のみを対象とするため,再現・合成できる音場が限られていた。この問題を解決するために音空間共有型球面波音場合成法を提案した。この提案法は上述の手法を球面波も含め再現・合成できるように改善したものである。また,コンピュータを用いた数値シミュレーションにより,2人の聴取者の周囲に,高精度な音空間を再現・合成できることが分かった。しかし,音源と聴取者の位置関係が特定の条件下で音場の再現誤差が大きく低下するという現象が見られ,また,この原因が判明していない。 提案法の改善により,方向だけではなく,ある音源の位置そのものを定めることができるようになった。この結果,VR空間上などにおいて,3次元的な空間認知の手助けに大いに貢献できると予想される。 一方,収音部分については,新たなる手法を提案するのではなく,既存の高次アンビソニックスの手法に得られたデータを今回の提案法で直接活用できるようにすることを考えた.これには,高次アンビソニックスの音空間データから,音源位置を推定する手法が適している。以上の方針のもとに,文献の調査を行った。その結果,該当する手法を発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は音空間の再現・合成部分に主眼をおき,新たなる手法の提案した。また,コンピュータシミュレーションにより,提案法を評価し,一部条件を除き,複数人に対応できることを確認した。これらは,研究が当初の目的どおりに進んでいることを示している。また,上述の不具合についても,提案法の部分的な修正によって解決できると思われる。そのため,今後の進捗への影響は小さいと考えられる。 また,収録部分についても,提案法に適した既存手法を発見してため,これを活用することを模索している。現状,収録と再現・合成の一体化についても,順調に進んでいると思われる。 以上より,本研究は当初予定通り順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,音空間共有型球面波音場合成法について,再現・合成の安定化を第一の方針とする.特に,上述の一部条件における合成精度の低下について注力する。このために音空間共有型球面波音場合成法について,部分的に修正・改善を行う予定である. また,収音部分は,発見した既存文献の手法を,音空間共有型球面波音場合成法に適応し,音空間の再現精度について検証を行う。
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Research Products
(3 results)