2017 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素要求量低下による植物への新たなホウ素欠乏耐性の付与
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16J07313
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船川 寛矢 北海道大学, 大学院環境科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / ホウ素 / 要求量 / ペクチン / 糖転移酵素 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素は植物の必須元素であり、一次細胞壁のペクチン性多糖ラムノガラクツロナンII(RG-II)を架橋する。ホウ素欠乏は植物の生育を抑制するため、ホウ素欠乏耐性植物の作出が重要である。先行研究により、ホウ素要求量が低下したシロイヌナズナのガラクツロン酸転移酵素(GAUT)10変異株が単離された。本研究はホウ素要求量を低下させる分子基盤の解明を目指し、平成29年度は、(1)GAUT10変異株の細胞壁成分の変化の検証、(2)GAUT10の細胞内局在の観察、(3)GAUT10変異株のトレードオフの検証、(4)新規bor1-1抑圧変異株の細胞壁成分の変化の検証を目的とした。 (1)では、GAUT10変異株の細胞壁の単糖組成分析を委託し、ラムノガラクツロナンIとホモガラクツロナン(HG)の減少が示唆された。さらに、RG-IIおよびHGを認識する抗体を用いて、根の横断面の免疫蛍光染色を行った。変異株において、RG-IIとエステル化度の低いHGの減少が示唆された。(2)では、GAUT10-GFPとゴルジマーカーを発現する形質転換体を用いて、細胞内局在を観察したところ、GAUT10のゴルジ体への局在が示された。(3)では、GAUT10変異株をホウ素欠乏・通常条件において水耕栽培した。野生型株は不稔になる欠乏条件において、変異株の稔実が観察された。また、通常条件において、変異株は野生型株と同様に稔実し、変異株のトレードオフは研究室環境において観察されなかった。(4)では、予備的に新規bor1-1抑圧変異株のRG-II量を呈色法により定量し、RG-IIの減少の可能性が示唆された。本研究から、植物体内のホウ素要求量の低下は、ペクチン合成に関与する糖転移酵素の機能低下によるRG-II量の減少により引き起こされることが示唆された。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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