2017 Fiscal Year Annual Research Report
Researches about Swiss fiscal policies in the 1990s, focusing on the reforms of the fiscal equalization systems
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16J07595
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
掛貝 祐太 慶應義塾大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | スイス財政 / 社会保障 / 政府間財政調整 / 年金改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度春~夏期は、年度後半の三つの学会報告に向け、先行文献のサーベイと、一次資料の読解に時間を費やした。具体的には今年は二つのテーマに沿って研究をすすめた。①90年代初頭にスイスの新自由主義改革を基調づけたとされる「白書」の読解を進めたほか、②1990年代のスイスの社会政策、とりわけ年金・雇用政策関連の政策・制度変化に関する論文を整理した。また後者に関してはスイス連邦アーカイブのデジタル・リプロダクション・サービスを利用し、一次資料を収集した。 さらに、昨年度の研究成果の学術雑誌「財政研究」への投稿論文に関して修正のうえ掲載可の連絡をうけ、同論文は『財政研究』13巻に収録され、査読付き論文として10月に発行された。 上記のテーマ①に関する成果は、第74回日本財政学会にて口頭発表を行った。原稿に修正を加えたうえで学術雑誌「財政研究」に投稿し、現在査読を受けている。テーマ②に関しては、第135回社会政策学会にて口頭発表を行った。さらにそこでのフィードバックをもとに、11月にSocial Science History Association, 42nd Annual Meetingにて、口頭報告を行った。これらの報告での意見をもとに加筆・修正したのち、社会政策学会編纂誌の「社会政策」に1月末に投稿した。 2月1日から3月31日までは、スイス連邦工科大学歴史研究所・技術史でGisela Heurlimann先生を受入教員として研究滞在している。よりアーカイブへのアクセスが容易になったほか、Swiss Political Science Associationの年次大会などに参加し、関連領域の研究について随時フォローし、Huerlimann先生から随時フィードバックを受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で二年次での主な課題としていた90年代の新自由主義改革についての研究をまとめ学術雑誌への投稿を行ったほか、関連する社会保障領域の研究にも着手し、論文投稿を行った。また2~3月にかけて現地に研究滞在を行い、歴史実証の水準を現地研究者の評価に耐えうるレベルへの向上を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に応募していた日本学術振興会の若手研究者海外挑戦プログラムに採用内定されたため、来年度4月以降、フリブール大学へ籍をうつしSiegfried Weichlein教授を受入教員として、引き続きスイスに研究滞在を行う。現在は4月以降に本格的に執筆を開始する、1990年代の失業・雇用政策に関して先行研究のサーベイおよび報告書の論点整理を行っている。夏までの滞在中に現地研究者からの評価を受けることで、さらなる歴史的実証水準の向上に努める。また本研究は秋のSocial Science History Associationにて報告予定である。同論文の執筆と並行して、秋期以降は博論の構想を練るために時間を費やす。
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