2016 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導マグネットの加速器応用に向けた遮蔽電流に関する研究
Project/Area Number |
16J07799
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽我部 友輔 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 高温超伝導 / 加速器 / 遮蔽電流 / 交流損失 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温超伝導マグネットの加速器応用に向けた課題の一つである、遮蔽電流のマグネット発生磁界精度への影響の評価・抑制を実現することを目的に研究を進めた。 本年度は、遮蔽電流のマグネット発生磁界精度への影響を評価するために用いる有限要素法電磁界解析モデルの高速化・省メモリ化を実現するために、数学的手法の一つであるH-matirx法の、高温超伝導マグネットの有限要素法電磁界解析モデルへの適用可能性について検討した。 また、実際の加速器用マグネットとしての仕様を意識して設計された高温超伝導マグネットを対象に、実際の加速器用マグネットの運転パターンを意識した励磁パターンを想定した有限要素法電磁界解析を実施し、超伝導線内に誘導される遮蔽電流が、高温超伝導マグネットの3次元形状に起因してどのような分布で誘導されるかについての知見を得た。 上記の有限要素法電磁界解析によって得られた遮蔽電流の分布から、遮蔽電流の高温超伝導マグネット発生磁界精度への影響を評価し、マグネットを励磁中の各時刻において、加速器用マグネットとしての仕様を満たす程度の磁界精度を実現することが可能かどうかについての検討を行った。 また、高温超伝導マグネットを冷凍機を使って伝導冷却した状態で運転する際に、冷却コストや高温超伝導マグネットの安定性の確保などの観点から大きな問題となりうる発生交流損失についても、高温超伝導マグネット全体での総発生損失および交流損失の分布を評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温超伝導マグネットの加速器応用に向けた遮蔽電流に関する研究の初年度として、H-matrix法の高温超伝導マグネットの電磁界解析への適用可能性を検討した。この結果、3次元形状をもつ高温超伝導マグネットの電磁界解析モデルにおいても、H-matrix法を適用することによって大きなメモリ削減および計算時間短縮の効果がある見込みを得られた。H-matrix法の高温超伝導マグネットの電磁界解析モデルへの適用は世界的にみても初めての成果であり、今後の本研究においても大きな意味をもつ。 また、3次元形状をもつ高温超伝導マグネットにおいて誘導される遮蔽電流分布についての基礎検討、実際の加速器用マグネットの運転パターンを意識した励磁パターンで高温超伝導マグネットを運転した場合の交流損失および遮蔽電流によって発生する付加的磁界の評価を行った。これらの電磁界解析によって得られた結果は、それぞれ個別に論文として発表するに足るデータであり、本年度の進展は順調であったと評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
実際の加速器用マグネットを意識した高温超伝導マグネットにおいて、遮蔽電流が発生する付加的磁界の低減について検討する。本年度得られた解析結果のマグネット設計へのフィードバックとマグネット通電電流の制御を組み合わせ、遮蔽電流によって発生する付加的磁界の多極成分を抑制することが可能か、検討を始める。このフィードバックの効率的な実現のために、H-matirx法を実機相当の高温超伝導マグネットの電磁界解析モデルへ適用し、省メモリ化・高速化を実現した電磁界解析を実施する。
|
Research Products
(2 results)