2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンバリアントCENP-Aによる動原体形成メカニズムの解明
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16J09035
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平井 隼人 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | セントロメア / 動原体 / CENP-A / クロマチンリモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体分配に必須の役割を担う動原体は、ヒストンH3バリアントであるCENP-Aを基点として形成される。セントロメアにおけるCENP-A量の過不足は染色体分配の異常につながることから、CENP-A量は厳密に制御されている必要がある。本研究は、セントロメアに呼び込まれたCENP-A量がどのようにして制御されるのかについて解明することを目的としている。本年度では、セントロメアに呼び込まれたCENP-Aの維持に動原体タンパク質CENP-I/Mis6が寄与していることを明らかとした。また、Mis6がどのようにしてCENP-Aの維持に寄与しているか以下の2つのモデルを考えて研究を進展させた。 (1) Mis6がCENP-Aを直接安定化するモデル 先行研究の知見から、Mis6がCENP-Aに直接結合することがCENP-Aの安定性を高めていると推測した。しかしながら、共免疫沈降法によるMis6とCENP-Aの結合は確認出来なかった。また、CENP-A変異体においてMis6の局在は完全に消失しなかった。以上のことから、Mis6は本モデルとは異なる機構でCENP-Aの維持に寄与していると結論づけた。 (2) Mis6がクロマチンリモデリング因子を介してCENP-Aを維持するモデル セントロメアからノンコーディングRNA(ncRNA)が転写されるという知見から、Mis6はncRNAが転写される際に、CENP-Aの脱落を防いでいると推測した。実際に、RNAポリメラーゼIIの阻害剤を用いてncRNAの転写を停止させると、mis6変異体でのCENP-A量の減少がみられなくなった。この結果は本モデルを支持するものであり、次年度はさらにこのモデルの正当性を追究する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セントロメアに呼び込まれたCENP-Aがどのようにして制御されるのかという問いに対して、多角的に仮説を立て実験を行い、一定の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究から、セントロメアからncRNAが転写される際に、Mis6によってCENP-Aが維持されることが示唆された。次年度は、転写の際にヒストンのリサイクルに寄与するクロマチンリモデリング因子とMis6の関係性を追究する。
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