2017 Fiscal Year Annual Research Report
カザンザキス文学における現代ギリシア人像:ギリシア・ナショナリズムの観点を中心に
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16J09233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 耕佑 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | カザンザキス / ギリシア・ナショナリズム / ディアスポラ / ポントス人 / ドラグミス / 第一次世界大戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、現代ギリシアを代表する作家ニコス・カザンザキスの文学において、第一次世界大戦前後に難民としてギリシアに流入したポントス人表象を主に取り上げた。この研究において、ポントス人とカザンザキスとの接触がカザンザキスの「ギリシア性」探求におけるモチーフのきっかけを与えたこと、そして彼の主著群を成す『その男ゾルバ』と『キリストは再び十字架に』、そして自伝的小説『エル・グレコへの報告』において「ギリシア性」を表象する際の中心的な登場人物として取り上げられていることを明らかにした。ここで挙げらた研究はギリシアの新聞であるPontosnewsにおいて取り上げられる等、国外においても一定の評価を得たと言えよう(http://www.pontos-news.gr/article/168983/o-iaponas-poy-agapise-ton-kazantzaki-kai-vrike-toys-pontioys 最終閲覧日;1917年9月13日) また、1920年までの、カザンザキスが政治的にナショナリストとして中央で活動した時期の作品について分析し、イオン・ドラグミス等の先行する作家や「メガリ・イデア」等の政治思想から大きな影響を受けていたことを明らかにし、ここでの成果を主に、「福田耕佑、二十世紀初頭のカザンザキスの政治活動とナショナリズム : ディモティキ運動とドラグミスからの影響、プロピレアー日本ギリシア語ギリシア文学会、(23) 12-30、2017年」として論文化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年次計画に記載した項目を、現在の所予定通り論文の形で公表している。 また、特に年次計画には記載していなかった、ディアスポラの難民であったポントス人をギリシア文学の枠組みで取り上げ、現地調査を行い現地のポントス人との接触にも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
年次計画に記載された通り行う予定である。 次段階である、カザンザキスが西欧社会を越えて、ロシアや日本・中国に赴いた時期の作品の分析を行いたい。カザンザキスはロシアをギリシアと同じく東方と西方の間であると認識し、また日本・中国への訪問を通して、確かに西欧社会に対して自分を東方人だとみなしていたが、東洋とも異なる西洋の人間としての自意識を再確認していくことになる。 このような東方との接触が、古典ギリシアと西方的なイメージに由来するギリシア像とは異なる、カザンザキスの「「東方と西方の間」であるギリシア」意識の形成にどのような役割を果たしたのかを明らかにしていきたい。
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Research Products
(9 results)