2016 Fiscal Year Annual Research Report
英語教育の政策過程とその影響要因に関する包括的研究
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16J09351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青田 庄真 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 英語教育 / 教育政策 / 政策過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本における英語教育の政策過程を微視的視点から検討するとともに,その構造や変容の特徴を他教科等と比較を通して巨視的に明らかにすること,および,諸外国との比較を通して日本の英語教育政策の在り方を検討することである。 初年度である平成28年度には,いわゆる「小学校英語」の授業時間数を例にとり,1990年代以降現在に至るまでの政策過程上にどのような構造が見られるのかを検討した。検討の結果,英語の拡大を促進する要因が強くなったというよりは,むしろ英語の拡大を阻害する「他教科への圧迫」という要因が,「脱ゆとり」という超教科的な潮流の中で軽減されたことが確認された。 また,戦後を包括した英語教育の政策過程の変化を分析する上で重要である「政治家」についても分析を進めている。本研究は国レベルでの政策過程を分析の中心にしているため,政治家を国会議員に限定し,その社会的属性や主たる政治活動たる国会活動について分析している。ここでも,本研究は他教科との比較という点に焦点を当てており,英語教育と理科教育との類似性が確認されている。 さらに,諸外国との比較としては,カンボジアの観光地における大学や語学学校において関係者への面接調査などを行なった。ここでは,いわゆる「発展途上国」の観光地において,英語が絶対的に不可欠なものであるかのように語られがちなその地域の特性に着目し,「個人レベルの言語政策」という視点から分析を行なっている。 以上の研究を踏まえながら,採用2年目である平成29年度には,より英語教育界の内部の構造に焦点を当てた分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画通りデータを収集し,分析することができたと同時に,その成果を一定程度発表することができたためである。具体的には,本研究は歴史的な検討を含むため,採用1年目には各種議事録や雑誌記事などの資料・史料の収集および分析に注力した。また,研究論文については,採用1年目には,採択に至らなかったものもあるため,適宜修正を施すことで採用2年目の平成29年度中には複数の採択を得ることが期待される。また,既に発表されたものについては一定の評価が得られており,このことからも,順調に研究が遂行されていると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
採用2年目の研究においては,既に収集されたデータについてさらなる分析を行なうとともに,データ収集も継続して行なう予定である。具体的には,採用1年目に準備を進めてきた国レベルの審議会において委員を経験した人への面接調査や,教育委員会関係者への質問紙調査や面接調査を行なう。また,以上のデータ収集を計画的に終え,可能な限り早く分析の段階に移ることを目指すとともに,これまでに収集した新聞紙や雑誌の記事などのデータに関する分析ついては,関連学会において発表する予定である。
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