2016 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクリングエンドソームを通過する逆行性輸送の生理的意義と分子基盤の解明
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16J09989
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仁木 隆裕 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 逆行性輸送 / リサイクリングエンドソーム / コレラ毒素 / SMAP2 / クラスリン / AP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
逆行性輸送経路は、細胞外の物質や細胞膜に存在する膜タンパク質をゴルジ体・小胞体へと運ぶ細胞内輸送経路であり、組織・個体形成に重要であることが明らかにされてきている。しかしながら、逆行性輸送によって運搬されるタンパク質、およびその制御因子については不明な点が多く残されている。当研究室は、逆行性輸送がリサイクリングエンドソーム(RE)という細胞小器官を介することを世界に先駆けて発見し、さらにREに局在し逆行性輸送を制御する新規タンパク質を複数同定(Uchida et al. PNAS (2011), Matsudaira et al. PLoS One (2013), Matsudaira and Niki et al. J Cell Sci. (2015))してきた。 今年度において、上記の論文で報告した、逆行性輸送制御因子であるSMAP2の機能未知ドメインに着目し、そのドメインと相互作用する分子を探索したところ、epsinRというクラスリン結合タンパク質がSMAP2と相互作用すること、epsinRがREに局在し、コレラ毒素のREからゴルジ体への逆行性輸送を制御すること等を明らかにした。これらの内容について、学会発表を行った。また、私は、コレラ毒素の逆行性輸送を制御する可能性のある膜貫通タンパク質の同定を目指し、FLAGタグを付与したコレラ毒素リコンビナントタンパク質を作製することに成功した。このリコンビナントタンパク質を細胞に添加し、膜透過性の架橋剤を用いて生細胞においてクロスリンクを行い、FLAGタグを介して免疫沈降を行ったところ、免疫沈降物にコレラ毒素添加時に特異的に見られるタンパク質が銀染色にて検出された。このタンパク質の中に、目的のコレラ毒素のエンドソーム受容体が含まれていることが期待され、現在、質量分析によって解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに報告したSMAP2/クラスリン/AP-1というREタンパク質の軸を基に、epsinRという新たな逆行性輸送制御因子を見つけることができた。また、免疫沈降が可能なタグを付与したコレラ毒素のリコンビナントタンパク質の作製に成功し、コレラ毒素依存的に細胞内で架橋されるタンパク質を検出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析で同定されたコレラ毒素結合タンパク質について、実際にそれらのタンパク質がコレラ毒素と結合し、その逆行性輸送を制御するかどうかを解析する。また、コレラ毒素の輸送制御機構をもとに、ラフト局在性タンパク質の細胞内輸送機構についても解析を行う。SMAP2/クラスリン/AP-1/epsinRという軸とREの関係についても更なる詳細な解析を行う。
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