2018 Fiscal Year Annual Research Report
「戦後」沖縄文学における「混血」をめぐる表象への批判的研究
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16J11414
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤本 秀平 琉球大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 混血 / 戦後 / 沖縄文学 / 日本文学 / 米国占領 / 人種主義 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、戦後沖縄に関わる「混血児」の言論や文学テクストだけでなく、戦後日本文学における「混血児」言論とテクストの収集にも積極的に取り組んだ。その主要成果として、(1)「沖縄の日本「復帰」と「混血児」言論――長堂英吉『帰りなんいざ』から問い返すナショナリティの編み直し――」(日本社会文学会春季大会、2018年6月24日)、(2)「戦後日本の占領転換期における「混血児」表象について――獅子文六『やっさもっさ』論――」(日本近代文学会秋季大会、2018年10月28日)、(3)「大城立裕『一号線』から「非琉球人」管理をめぐる法の条線を読み辿る」(『クァドランテ』21号)の3つが挙げられる。 (1)では、沖縄の日本「復帰」の時期に創作された長堂英吉の『帰りなんいざ』という小説を取り上げ、これまで渉猟してきた米軍の占領政策に関する公文書や広報誌とを参照しながら、「混血児」というカテゴリーが「復帰」をめぐる言論の中でどのように語られているかについて読み込んだ。 (2)では、獅子文六の『やっさもっさ』という、1952年に『毎日新聞』にて連載された小説を取り上げ、これまで神奈川・東京での資料調査によって収集してあった1950年代前後の雑誌記事や新聞記事、「混血児実態調査」などを活用しながら、占領政策における資本のフローの観点から小説を読み込んだ。 (3)では、大城立裕の『一号線』という1969年6月15日の『沖縄タイムス』に掲載された小説について論述した。小説の読解として、登場人物たちの婚姻関係の有無と、米軍要員/琉球住民/非琉球人という法的地位の差異の中で、占領がどのような相手同士の結婚を認めていないのか、あるいは認めているのかに着目し、米軍用員/琉球住民/非琉球人という人口の分け方と管理の機序に、ジェンダーをめぐる規範だけでなく、「混血」を忌避する認識も編み込まれていることを明らかにした。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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