2016 Fiscal Year Annual Research Report
MEMS技術を用いた磁歪・比透磁率のハイスループット評価
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16J11594
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前谷 卓哉 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | MEMS / コンビナトリアル手法 / 磁歪 / ハイスループット評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁歪材料は非接触駆動,大出力といった特徴から多くのアクチュエータやセンサに応用されている.本研究では,磁歪材料の重要な物性値である磁歪量と比透磁率(磁化曲線)をハイスループット評価する方法として,カンチレバー構造を有するMEMS構造体を用いた新しいハイスループット評価方法の考案,及び原理確認を行うことを目的とした.平成28 年度は,1)薄膜金属ガラスを用いたMEMS構造体製作,2)SOIウエハを用いたMEMS構造体製作を実施し,以下の成果を得た. 1) 薄膜金属ガラスを用いたMEMS構造体製作 ガラス転移を示す薄膜金属ガラスを用いることで,磁歪材料をアニールした際に発生する内部応力を緩和し,カンチレバーに発生するたわみを抑制することを検討した.カンチレバー形状のサンプル基板と評価機構が製作された評価基板の接合温度付近にガラス転移温度を有する薄膜金属ガラスPd-Cu-Siを用いて検討を行った結果,ヤング率の低い薄膜金属ガラスでは,発生するたわみを十分に抑制することが出来ず,カンチレバー先端と評価基板が接触するため,磁歪,及び比透磁率の測定が困難となることが明らかとなった. 2) SOIウエハを用いたMEMS構造体製作 カンチレバーに発生するたわみを抑制するために,薄膜金属ガラスと比較し,ヤング率および剛性の高い厚膜のSiデバイス層を有するSOI ウエハを用いたMEMS構造体製作の検討を行った.厚膜のSiを用いたことにより,発生するたわみは,磁歪,比透磁率の測定を実施できる程度に抑制することができ,MEMS構造体の製作プロセスを確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画と比較し,磁歪,比透磁率の測定に用いるMEMS構造体の製作手法を(1)から(2)へと変更した. (1)薄膜金属ガラスを用いたMEMS構造体製作 ガラス転移を示す薄膜金属ガラスを用いることで,磁歪材料をアニールした際に発生する内部応力を緩和し,カンチレバーに発生するたわみの抑制を検討した.薄膜金属ガラスを用いたMEMS構造体により磁歪,比透磁率の測定方法の原理確認を行うことを予定していたが,ヤング率の低い薄膜金属ガラス(Pd-Cu-Si)では,発生するたわみを十分に緩和できず,カンチレバー先端と測定機構を有する評価基板が接触し測定が困難となった. (2)SOIウエハを用いたMEMS構造体製作 カンチレバーに発生するたわみを抑制するために,薄膜金属ガラスと比較し,ヤング率及び剛性の高い厚膜Siデバイス層を有するSOIウエハを用いた.厚膜のSiとすることで発生するたわみを磁歪,比透磁率の測定を実施できる程度に抑制することができ,MEMS構造体の製作プロセスを確立した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は以下の項目について研究を推進する. (1)製作プロセスの検討:平成28年度の検討において,SOI基板を用いたMEMSデバイス製作プロセスは確立されたが,評価機構を有する評価基板とカンチレバー形状のサンプル基板の接合プロセスにおける歩留りが悪い.歩留りを向上させるため,接合プロセスにおける印加応力,接合温度などの検討を行う. (2)磁歪,比透磁率の測定原理確認:ロックインアンプやスイッチトキャパシタなどの微小信号の測定技術を用いて磁歪,比透磁率の測定を行う.原理確認には,磁歪,比透磁率が既知である磁歪材料を標準試料として用いる.
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