2016 Fiscal Year Annual Research Report
複数の2次元情報を記録・表示する次世代ボリュームディスプレイ
Project/Area Number |
16J30007
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
平山 竜士 千葉大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ボリュームディスプレイ / 指向性画像表示 / インクジェット印刷 / フォトクロミック材料 / 3Dクリスタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,複数の人へと同時に,それぞれ独立した情報を提供可能な次世代情報伝達システムの開発を行っている.このシステムは,複数の2次元画像が組み込まれた特殊な3次元構造体の設計アルゴリズムと,その3次元構造体を表示するためのボリュームディスプレイ技術に基づいている. 先行研究では,提案アルゴリズムで設計された3次元構造体をレーザ加工技術によってガラス中に描画することで,提案手法を実証した.しかし,組み込む画像枚数を増やすために円柱状や球状のガラスを用いた場合,光の屈折現象によって像が歪んでしまうという課題が明らかになっていた.この屈折の影響を補正するため,アルゴリズムの改善に取り組んだ.この補正アルゴリズムでは,これまでマイナスだと考えられてきた屈折の影響を逆に利用することで,表示方向に関する従来の制限を取り外せる.結果としては,合計8枚の画像を同時に表示する3次元構造体の作製に成功した.この成果は世界最大級のCGの国際会議・展覧会一つであるSIGGRAPH Asia 2016などで発表した. 上述のレーザ加工技術を用いた方式では,カラー画像を表示させることはできない.そのため,発光材料を用いたカラー化にも取り組んできた.先行研究で試作したボリュームディスプレイは,手作業で作製されていたため,解像度が低く,高解像度化が困難であった.そこで,市販のインクジェットプリンタを用いることで,発光材料を機械的かつ緻密に配置可能な手法を提案した.この手法によって,大幅な高解像度化を実現した.この成果は,Natureグループのオープンアクセス論文誌であるScientific Reportsで公開されている. フォトクロミック材料と呼ばれる特殊な光材料を利用したボリュームディスプレイの動画化方式については,基礎原理検証実験を行ったものがScientific Reportsで公開されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は発光ダイオードの3次元配置に基づくボリュームディスプレイの高解像度化を計画していた.しかし,アルゴリズム面における改良の必要性が分かったため,そちらに先に取り組むこととした.結果として,従来アルゴリズムに存在していた画像表示方向に関する制限を取り除くことに成功した. 光制御ボリュームディスプレイの開発については,インクジェットプリンタを用いた光材料配置という当初計画していなかったアプローチを見出し,高解像度化を達成した.フォトクロミック材料を用いた動画化方式の検討では,今年度の目標であったフルカラー化の原理検証まで達成された.
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Strategy for Future Research Activity |
発光ダイオードの3次元配置に基づくボリュームディスプレイの高解像度化に取り組む. フォトクロミック材料を用いた動画再生可能なボリュームディスプレイ方式に関する基礎原理実証実験が完了したので,今後は実際のシステム構築に取り組む.
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Research Products
(12 results)