Project/Area Number |
16K00047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤越 康祝 広島大学, 理学研究科, 名誉教授 (40033849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 哲朗 諏訪東京理科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60609741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多変量回帰モデル / 共分散構造 / モデル選択規準 / 高次元多変量モデル / 高次元一致性 / 判別分析 / 検定型変数選択規準 / 高次元漸近分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 多変量解析とくに, 判別分析, 多変量回帰分析, 主成分分析, 正準相関分析, 多変量逆回帰分析, などにおいて, 目的変数と説明変数の数が標本数に比べ大きい場合における変数選択法と次元選択法に関して研究することを目的としている. 具体的には, (1) AICやCpなどのモデル選択規準を高次元の場合へ拡張し, それらの性質を解明する. (2) 罰則付最適化法に基づく変数選択法を開発し, 修正モデル選択法との関係を解明する.(3) 得られた結果を数値実験により検証し, さらに実データへの応用に取り組む. 29年度の主要な成果は, (T-1)主成分分析における有意な主成分の個数の推定, (T-2)多変量回帰モデルにおける説明変数の選択と次元の推定問題, (T-3)判別分析における変数選択問題, (T-4)多変量回帰・正準相関分析における次元の推定, と関係している. (T-1)に関しては, 高次元主成分分析における有意な主成分の個数に関するAICとBIC規準について, 一致性をもつ場合の十分条件を与えている. この成果は, Ann. Statist.に掲載されている. (T-2)に関しては, 多変量回帰モデルにおいて, 簡単な共分散構造をもつ場合について一般化モデル選択規準の高次元一致性を示し, 現在, これらの成果含む英文論文を作成し, 投稿中である. (T-3)に関しては, 各変数の有意性規準に基づく新たな規準を提案し, 英文論文を作成中である. (T-4)に関しては, 高次元多変量回帰モデル, および, 一組の変数が高次元である正準相関分析において, 次元の推定規準AIC, BIC, Cpの一致性を示し, 雑誌J. Multivariate Anal., SUT Journal of Mathematicsに発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要において述べているように, 多変量回帰モデル, 主成分分析, 判別分析, 正準相関モデルにおいて, 本研究で目標にしている課題(1), (3)に関してかなりの成果を得て, その成果の一部を統計関連学会で発表し, 国際的雑誌に掲載している. また, 本研究で目標にしている課題(2)に関しては, 判別問題において, 線形回帰モデル, 判別分析における次元のモデル選択規準に関して, 正則化法を適用をし, それらの理論的性質や数値的検討を行い, その成果の一部を国際的雑誌J. Multivariate Anal.に発表している. 理論的研究成果に関しては, 数値実験による検証も実施し, 新たな知見も得ている. これらのことから, 研究は, 概ね順調に進んでいると言える. 一般に, AICやBICなどのモデル選択規準に基づく変数選択法には, 変数の数が多くなると実行できないという問題点がある. 本研究を推し進める過程において, この問題点を解消した規準(検定型変数選択規準)を提案し, その規準の性質を明らかにすることが重要な課題になっている. 多変量回帰での成果は, 変数の数が標本数より大きい場合に対しても適用できるものである. 本研究での成果は, 主として多変量回帰モデル, 判別分析での成果であるが, これらの成果を, 主成分分析, 正準相関分析, 多変量逆回帰モデル, 成長曲線モデルなどで発展させる糸口になると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に述べている研究課題(1), (2), (3)に関して, 未解決な問題に取り組む. 具体的には, 高次元多変量回帰モデルで, 一般共分散構造, および, 3つの共分散構造(独立構造, 一様構造, 自己回帰構造)を想定したもとでの一般化モデル選択規準および検定型変数選択規準の一致性等の成果を得ているが, これを判別分析, 主成分分析, 正準相関分析, 多変量逆回帰分析, 多変量成長モデルなどで発展させることを目指す. また, 最近発展しているLasso型推定法による変数選択法との関連について, 数値的, かつ, 理論的な研究に取り組むことを考えている. さらに, 標本数が次元数より少ない場合, 正則化法の性質を明らかにすることにも取り組む. 上記では, 変数選択による縮小問題を取り上げているが, パラメータ行列のランクを縮小する次元縮小問題, 変数選択とランクの同時選択問題にも取り組む. さらに, 主として正規性を想定したモデルでの展開になっているが, これを非正規モデルで展開することも視野においている. 取り上げる多変量モデルとして, 上記の他に, 多変量線形混合モデル, 同時方程式モデル, なども考えている. 研究進める上で, 国内外の関連研究者との打ち合わせが重要になる. 研究課題と関連する, 国際会議, 学会, 研究集会等に参加し, 情報交換などしながら, 研究を進めることを考えている.
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Causes of Carryover |
英文原稿の添削費用が当初の予定額より少なかったため. この残額は, 次年度の消耗品(英文原稿の添削費用)に追加することにしている.
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