2016 Fiscal Year Research-status Report
ソフトウェアの論理回路化による知的財産保護に関する研究
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16K00072
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
市川 周一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70262855)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難読化 / FPGA / セキュリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度計画では,(1)保護レベルの定量化,(2)論理回路化する部分の選択手法,(3)実装を考慮した保護手法,が研究項目となっている. 保護レベルの定量化については,まずソフトウェアの評価手法から検討する必要がある.調査の結果LLVMを評価基盤として採用し,C言語ソフトウェアを中間形式IRに変形してから,IRを難読化するプログラム(A)とIRの複雑度を評価するプログラム(B)を作成することにした.プログラム(A)はIRを入力しIRを出力するため,LLVMではPathと呼ばれるプログラムになる.LLVMを採用することにより,Cコンパイラの基盤に難読化パスを組み込むことが可能になり,実行時の動的プロファイル収集や実行速度評価も可能になる.また,High Level Synthesis (HLS)を利用して,C言語からハードウェアを生成して論理規模と性能の評価をすることもできる.プログラム(A)(B)は現在も開発中である. 実装を考慮した保護手法については,実装基盤としてXilinx HLSを採用することとし,難読化前のC言語プログラムの一部をハードウェア(周辺回路)として実装する手法を試みた.PLC命令列をC言語プログラムに変換し,HLSで周辺回路のハードウェアを生成してから,ARMプロセッサ搭載のFPGA上に実装・評価した.その結果,上記の方法でハードウェアが動作することが確認され,ハードウェア量と速度の評価結果が得られた.ただし周辺回路とのデータ転送が性能ボトルネックとなるため,周辺回路による実行は,ARMプロセッサによるソフトウェア実行に比べて4~50倍の実行時間を要することが判明した.本成果は国際会議ISIE 2017に採録され,29年度6月に発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標(1)保護レベルの定量化と目標(2)論理回路化する部分の選択手法については,研究実績の概要欄で述べた通り,実現手法の検討を終わりプログラム(A)(B)を開発中であるので,一定の進捗はあったといえる.しかし未だ定量的結果を発表するには至っていないので,平成29年度に開発を推進し,定量的評価結果を得る必要がある. 目標(3)実装を考慮した保護手法については,PLCプログラムをハードウェア化してFPGA上の周辺回路として実装することができた.実際に性能を測定した結果,周辺回路の性能はARMプロセッサによるソフトウェア実行の10倍であるが,周辺回路にデータを送り結果を回収するオーバヘッドにより,ARMプロセッサ上でのソフトウェア実行の4~50倍の実行時間を要することがわかった.これらの評価は,SW/HW協調難読化を実現するための基礎的実験・評価の結果であるから,目標(3)は当初予定(手法の検討)以上の進捗(試験的実装評価)を達成したといえる. 以上の点からみて,目標(1)(2)は予定より遅れ気味であるが進捗があり,目標(3)は予定以上の進捗があったといえる.総合的には,概ね予定通りの進捗であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
目標(1)(2)については,開発中のプログラム(A)(B)の実装を急ぎ,平成29年度中に試験的評価を行って評価結果を発表する予定である.本項目の一部を大学院生(修士課程)の論文テーマに割り当てる予定であるため,開発を分担して作業を加速できると考えている. 目標(3)については,システムへの実装評価方法は28年度でめどがついたため,次はHW/SW協調難読化の手法について具体的に検討し,プログラム(A)(B)を拡張してHW/SW協調難読化の試験的実装を行う必要がある. いずれの目標についても,プログラム(A)(B)および難読化等の追加プログラム開発が最優先課題となる.それが進捗すれば,平成29年度以降の目標(4)ハードウェア特殊化の保護手法への適用も検討できるようになり,また目標(5)現実的な問題への適用も視野に入る.
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Causes of Carryover |
平成28年度春の計画では,28年度中に研究成果を国際会議あるいは論文誌で発表し,その参加費および掲載料を科研費で支出する予定であった.幸いに国際会議論文と学術論文が各1本採録されたが,国際会議は29年6月開催,論文誌掲載は29年7月予定であるため,予算の執行は29年度に持ち越された.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年6月開催の国際会議ISIE2017に参加するため,(概算)旅費329,640円,参加費84,027円を支出する.論文出版費については未だ請求書が来ないため,平成29年度分の科研費で支払う予定である.
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Research Products
(34 results)