2016 Fiscal Year Research-status Report
超高齢化社会における能動的な介護予防支援プラットフォームの開発
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16K00118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 秀幸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (40509072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エージェント / 知的情報システム / 情報通信工学 / 高齢者支援 / 能動的情報資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、認知症発症の予防、徘徊防止、遠隔介護が可能な高齢者介護予防システムを実現するための理論的な枠組みと知的情報処理基盤の開発を行うため、(A)既存関連技術の調査と分析、(B)介護予防支援プラットフォームの設計と開発、(C)能動的な認知機能向上支援技術の開発を行った。さらに、(D)能動的な情報資源の連携による体験記憶を支援するための各種機能モジュールの設計と開発、実験環境整備等の準備を行った。具体的な研究実績の概要は、以下の通りである。 (A) 既存の関連技術の調査、及び、分析として、独居高齢者の介護予防と介護支援ロボットに加えて、日常生活の状態を検出するセンシング技術、認知症予防、及び、体験記憶の想起支援技術などの関連技術の調査・分析を行い、技術的課題の整理に加えて、介護予防支援プラットフォームの設計方針と開発方法に関する整理を行った。 (B) 介護予防支援プラットフォームの開発として、(A)の調査・分析結果に基づき、介護予防支援プラットフォーム実現のための機能要件整理とアーキテクチャの設計に加えて、介護予防支援システムを提供するための知的情報処理基盤の設計を行った。 (C) 能動的な認知機能向上支援技術の開発として、(B)のアーキテクチャに基づき、高齢者の日常生活のライフログ、創造活動を通した体験記憶に関する情報資源の生成、記憶モデルに基づく想起支援技術の設計と開発を行った。 (D) 最終年度(平成30年度)に向けて、評価用プロトタイプシステムの開発に向けた実装・実験環境整備として、自律走行ロボット、センサ機器の制御を行う機能モジュールの試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、IoT(Internet of Things)環境における人・モノ・データの有機的な連携による能動的な体験記憶の想起補助や創造活動支援による認知症予防、高齢者の異常時検出と遠隔介護者への情報提供支援を焦点とし、高齢者の介護予防と介護者の身体的・精神的負担軽減を支援する介護予防システムを実現するための理論的な枠組みと知的情報処理基盤の開発が目的である。 初年度(平成28年度)の研究実施計画は、既存関連研究の調査と分析、介護予防支援プラットフォームの開発、能動的な認知機能向上支援技術の開発であった。計画通り研究開発を行うことができた点、介護予防支援プラットフォームに基づく日常生活のライフログ、創造活動を通した体験記憶に関する情報資源の生成方法に関する一部の成果は、学会発表、本学の一般公開を通して成果を紹介することができた点、また、学会発表において、学生奨励賞を受賞するなど研究者から評価を受けた点、さらに、評価用プロトタイプシステム開発のための環境整備を行っている点から現在までの達成度を評価し、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度の成果に基づき、情報管理・制御技術と介護予防支援サービス構成技術、インタフェース技術の開発を行う。具体的には、以下の(A) 人・モノ・データの有機的な連携を支援する情報管理・制御技術の開発、(B) 介護支援サービス構成技術の開発、(C) 介護予防システム向けユーザインタフェースの設計と開発を推進する。 (A) 人・モノ・データの有機的な連携を支援する情報管理・制御技術の開発では、介護予防支援プラットフォームと認知機能向上支援技術に基づき、介護予防支援システムが利用するセンシング情報、マルチメディア情報、生活情報の統合管理方式、介護予防支援システムの各種提供機能に関する制御モジュールの試作、及び、動作確認を行う。 (B) 介護予防支援サービス構成技術の開発では、状況に応じた高齢者の記憶想起補助、利用可能なIoT関連機器、ソフトウェアを即興的に組み合わせた異常時検出や徘徊防止支援、遠隔介護者へ情報を提供する状況適応型のサービス構成法の検討と設計・開発を行う。 (C) 介護予防システム向けユーザインタフェースの設計と開発では、遠隔の介護者(家族)に対して視覚的に情報を提供するインタフェース技術の検討、認知機能向上技術における体験記憶の補助支援を担う可視化方式の検討、情報提供方式の検討、高齢者の生活・創造活動支援向けユーザインタフェースの設計と実装を行う。 (A)、(B)、(C)に加えて、最終年度の総合評価に向けたプロトタイプシステムの開発に必要となる各種機能モジュールの開発、動作実験のための試作システムの開発を目標に研究開発を推進する。
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Research Products
(8 results)