2016 Fiscal Year Research-status Report
非協力的なユーザでも可能な外耳道の音響特性を用いた生体認証
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16K00182
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
矢野 昌平 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 准教授 (90332006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南部 功夫 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (40553235)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオメトリクス認証 / 外耳道音響特性 / マルチエンロールメント / 観測揺らぎ / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
外耳道音響特性測定時に混入する観測揺らぎに注目し、その原因と考えられる外耳道音響特性の取得時におけるイヤホンの装着具合について検討を行った。イヤーピースのあるイヤホンとないイヤホンを用いて被験者の外耳道音響特性の測定実験を実施し、イヤーピースのあるものは、測揺らぎの影響が少なく頑健性を持つことを確認した。 線形予測フィルタによる外耳道音響特性の経時変化の予測においては、ユーザの日々の体調変化や成長や老化に伴う経時変化の影響に注目し、時変化を予測し追従することによって、詐称を防ぐ手法の提案を行った。50日間の経時変化取得実験を実施し、経時変化の予測を行った。これにより、ユーザの日々の体調変化等による経時変化に、ある程度の予測し追従が可能であることを確認した。また、詐称を防ぐ手法にとしての可能性を示した。 イヤホン装着の角度変化情報を用いた個人認証法の検討では、複数の装着角度を事前に登録しておくことで、認証時にどの装着角度であっても認証が可能となるマルチエンロールメント法について検討を行った。 外れ値検出手法では、バイオメトリクスデータの登録時に、測定を失敗したデータや雑音を含むデータ等を取り除く外れ値検出手法について検討を行った。外れデータ検出手法としてABOD法、RSS法、マハラノビス法について検討し、その有効性の比較を行った。 特徴量の有効性評価実験では、高い識別精度を得ることが可能な特徴量を見つけ出すため、特徴量抽出法とその識別に適したアルゴリズムについて検討を行った。ユーザのバイオメトリクス特性に対し、2段階の特徴量抽出処理を行い、コサイン類似度識別器、線形判別分析識別器、サポートベクターマシン識別器によって評価を行った。これにより、有効な1段階目の特徴量抽出処理、2段階目の特徴量抽出処理の組み合わせを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外耳道形状をスキャニングするためのスキャナーの入手に時間がかかった。当初は6月に納品され研究が開始される予定であった。しかし先方の諸事情により実際の納品は11月末にずれ込み、さらに公正やトレーニングが終了し利用可能となったのは翌年の1月であった。そのため、外耳道形状に関する研究を推進することはできなかった。しかし、研究リソースを他の検討分野を先に実施するよう変更し対応した。これにより研究計画と順序が異なったもののおおむね順調に研究推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の4項目の研究を推進する。 1耳音響認証の特徴量抽出手法に関する研究:右耳と左耳のバイオメトリクスデータからどのように識別機を作成するかの検討は不十分である。本研究では、右耳と左耳のバイオメトリクスデータを、単体、結合、加算、減算処理をおこない識別器を作成し、識別精度の高い耳音響認証を実現するためのバイオメトリクスデータを実験的に見つけ出す。 2ユーザの外耳道形状と音響特性の関係の解明:耳音響認証において音響特性の差異が発生するメカニズムについての検討は不十分である。本研究では、外耳道スキャナーを用いて外耳道形状を計測し、音響特性との関係の解明を行う。 3.耳音響特性の環境変動の影響の解明:同一ユーザであっても、観測揺らぎやと呼ばれる測定時のデータの変動により認証が失敗することがある。気温や気圧の変化は音波伝達速度に関係する。本研究では、環境揺らぎの影響に強靭な耳音響認証システムの構築を目指すため音波伝達速度の変動を模擬を行う。 3.耳音響認証に適した測定手法の検討:同一ユーザであっても、観測揺らぎやと呼ばれる測定時のデータの変動により認証が失敗することがある。これは、測定器であるイヤホンお装着具合の変動などが関係する。本研究では、測定具合の変動にたいして強靭な測定手法の検討を行う。イヤホン形状の検討と観測揺らぎの変動を補完により、耳音響認証に適した測定手法を見つけ出す。 4.耳音響認証の識別アルゴリズムの検討:右耳と左耳のバイオメトリクスデータからどのように識別機を作成するかの検討やユーザ事の差異が大きくなるような特徴量に関する検討は不十分である。本研究では、機械学習の一種であるデイープニューラルネットワークを利用し特徴量の抽出を行う。
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Causes of Carryover |
共同研究者である長岡技術科学大学の南部先生の研究費繰り越しのため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究者である長岡技術科学大学の南部先生の研究課題であるアルゴリズム研究推進に使用する。長岡技術科学大学の研究協力者と共に識別器の理論的解析を行う計画であり、この研究推進に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)