2017 Fiscal Year Research-status Report
群化知覚を考慮した画像検索システムの開発とその応用
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16K00258
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
阿部 孝司 近畿大学, 理工学部, 准教授 (90367441)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 類似画像検索 / CBIR / ゲシュタルト心理学 / 群化 / 画像認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、群化している図形内の複数の構成要素をまとめて一つのオブジェクトとして認識する手法を提案し、様々な画像・映像処理システムへ適用させ有効に機能する社会システムを提案するものである。これまでの申請者の研究成果をさらに発展させ、まだ考慮できていない群化要因を群化領域認識に導入し、画像の検索・分類精度を向上させることを目指す。本研究の範囲は、(1)図形内の構成要素間の「連続性」「平行性」の群化強度を測定する特徴量の開発、(2)(1)を導入した群化領域認識手法の改良と線状や点状の構成要素が大半を占める画像に対し作成された群化パターンの精度検証、(3)類似商標検索や種々の画像解析へ(2)を応用するための技術開発、の3つである。(1)の連続性特徴量については前年度提案したものを更に改良し人間から得られたのアンケート結果による評価により改良モデルの有効性を確認した。平行性特徴量についてはこれまで提案した手法を商標図形以外へ適用できるよう今後改良する。(2)については、胃X線像解析の前処理にあたる胃壁のひだ模様の抽出において、画像処理して生成された線状と点状からなる欠落したひだ模様の修復に適用した。(3)については、クロマグロ稚魚の瞬発遊泳シーンの検出、画像を用いた水の濁度測定、へ応用し、限定的ではあるがそれぞれのシステムにおいて研究成果が得られた。
今年度の実績は次のとおりである。1.群化要因の「連続性」を測定するモデルを改良した。2.胃X線像の胃壁にうつるひだを認識するために連続性の特徴抽出手法を適用し、不鮮明なひだの修復に群化認識の技術を適用した。3.養殖魚のモニタリングシステムにおいて、魚群の行動解析するシステムへ群化認識の手法を導入した。4.画像を用いた水の濁度測定システムにおいて濁り具合を評価する画像特徴量の一部に群化認識の技術を導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究範囲(1)~(3)のうち、(1)については「連続性」要因を測定する画像特徴量を既存のものからカスタマイズし、高い精度で群化領域を認識できること、既存のものより精度が高くなったことを確認していることから、概ね順調に遂行されたことが伺える。「平行性」要因を測定するモデルについては次年度行う予定である。(2)については、(1)の手法の一部を胃X線像解析へ導入した。今後、医用画像処理での提案手法の精度をさらに高めると同時にさまざまな群化パターンを認識できるモデルを開発する予定である。また、(3)については、養殖魚のモニタリングシステムにおいて魚群の行動解析のために群化認識手法を一部適用し、魚群が瞬発的遊泳を行うシーンを高い精度で検出するシステムを開発した。前年度は養殖場の水槽を模擬的にタルとメダカを用いて作成したが、今年度はクロマグロ稚魚養殖用水槽を直接録画した映像を用いた。前年度の手法をそのまま使うことができず改良し一定の研究成果が得られた。また、画像を用いた濁度測定システムを提案し、濁度を評価するための画像特徴量の抽出の際に一部群化認識の技術を導入した。以上のことから、群化認識技術を種々の画像・映像解析へ適用し、新たな社会システムの提案または改良がなされたことが伺える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、研究範囲(1)の「平行性」要因を測定するモデルを改良する。申請者は以前に一度モデルを提案したが精度評価の結果、改良が必要であることが分かっている。さらに、これまで提案してきた群化領域認識手法をさまざまな画像パターンに適用し、画像処理や画像認識の精度を上げることを目指す。具体的には、胃X線像を用いた胃萎縮度合いの定量評価システムにおいて生成される胃ひだ模様の解析、養殖魚モニタリングシステムにより解析される魚群の行動解析、海水・淡水の両方で用いることのできる画像を用いた水の濁度測定、ベクタ画像を用いた類似画像検索に有効な特徴量の提案、Webカメラを用いたVDT作業時間の測定システム、などに群化認識の技術を適用する方法を検討する予定である。これは本研究の研究範囲(2)と(3)に該当するものである。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の予定より論文誌・国際会議での採録件数が少なかった。国際会議の参加費が予定していた金額より安く済んだ。 (使用計画)国際会議への参加費・渡航費、およびジャーナル論文の別刷代に使用する。また、モニタリング映像の解析研究のため、別途、実験用カメラを購入する可能性がある。
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