2018 Fiscal Year Research-status Report
インパルス性雑音除去のための閾値算出法と高速な並列処理型アルゴリズムに関する研究
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16K00260
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
宮嵜 敬 長野工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (10141889)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 雑音除去 / メディアンフィルタ / 並列処理 / アルゴリズム / GPU |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度における研究は、マルチコア型スイッチング・メディアンフィルタ法(手法Ⅰ)として、そのオリジナルとしている多方向走査平均処理スイッチング・メディアンフィルタ(MSMF)に閾値の自動算出法を組込み入れる改善を行った。雑音判定に用いる閾値には、画像ごとに雑音除去後の画質を最適にする最適閾値が存在することをすでに明らからかにしていたが、その値をどのように決めるかが問題として残されていた。そのため、画像を分割して、その特徴をもとに分析をしていたところ、画像内のエッジ情報を基にしたエッジ強度を使用することで、最適な閾値にはならないもののある程度の範囲で閾値を決定する方法を開発した。また、このエッジ強度を計算する領域に関しては、各種の特徴を持つ画像について、注目画素の周辺の正方形、菱形および円形領域での比較結果から、注目画素を中心とした菱形領域のエッジ強度が最適閾値に近い値となることが判明した。本方式による雑音除去後の画質に関して、これまでの画像分割型MSMFと比較したところ、PSNR画質評価値で1.0~2.8dBほど改善されることが分かった。また、GPUを使った並列処理型(手法Ⅱ)雑音除去アルゴリズムに、この菱形領域による閾値計算法を取り入れた方法を開発し、評価段階に入ったところである。 さらに、近年注目されているディープラーニングの一つであるCNNを雑音除去に用いた場合の性能を評価し始めた。この手法によるアルゴリズムもGPUを用いた並列処理型の一つであるため、上記の手法Ⅱとの比較の結果によって、今後の研究の方針が大きく変貌するかもしれない。しかし、場合によっては、閾値を決定する部分に限定してディープラーニングを用いる融合型の新しい手法の開発も考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像分割型MSMFにおいて、雑音除去のための閾値を自動的に算出する方法を開発する中で、分割画像内のエッジ情報が閾値を深く関連していることが明確になってきた。そこで、分割画像ごとよりも注目画素周辺の領域にさらに狭めて閾値とエッジ情報とから閾値を求められないか解析を進めたところ、分割処理よりも注目画素の周辺領域の菱形領域のエッジ強度から直接閾値を算出するという簡潔なアルゴリズムに改善することができた。復元画像の画質に関しても、画像分割型MSMFを上回ることが確認できたので、口頭発表や論文に成果を発表することができた。また、速度を向上させる手法として、GPUを用いた並列型の高速アルゴリズム手法にも改良を加えることができ、復元画質の評価を様々な画像を用いて比較しているところである。さらに、ディープラーニングを取り入れた並列型のアルゴリズムが一段と復元画像の画質に改善がみられ、概ね着実に成果を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチコア型MSMFアルゴリズムの閾値算出法がほぼ確立さることができたので、より精度を上げるため、多くの画像から実験データを取得し補正値を決めていくことが残されている。その上で、従来の手法および他手法との比較により学会発表をしていく。同様に、この閾値算出法の改良が進んだ段階で、GPU型を使った並列型手法にも取り入れ、処理時間と画質の比較をし、特性を明らかにする。さらに、ディープラーニングによる手法の改善も進める。最後に、実用性の評価として、高解像度ディジタルカメラで撮影した高解像度の大量の画像に対して評価試験を行うことで研究目的が達成させられる予定である。
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Causes of Carryover |
開発したアルゴリズムは高速処理を実現することが目的であり、他の最新の手法との速度比較をする実験が必要であったが、そのプログラム化が遅れたのが大きな理由である。また、ディープラーニングを取り入れた並列型アルゴリズムに改良するために、多くの画像で学習する必要があったが、その実験データを算出までに時間を要したためである。その結果、発表を予定した国際会議への論文を完成させるのが遅れたことが研究の延長となった。国際会議への参加を予定している。
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Research Products
(8 results)