2016 Fiscal Year Research-status Report
スマートチョーカー:頸部装着型生体・生活情報常時モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
16K00290
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
井村 誠孝 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50343273)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体計測 / 信号処理 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,頸部からの生体情報センシングを非侵襲的に実現するために,複数種類のセンサを備えるチョーカー型デバイスであるスマートチョーカーを開発することである.スマートチョーカーは,音声・脈波等の計測を行う各センサから得られる時系列信号を機械学習等により解析し,装着者の生理的各種指標および生活行動を推定する. 平成28年度は,個別の信号を取得するセンサ系を構築し,それぞれのセンサから得られたデータに対する信号処理および機械学習により,装着者の生体情報を推定する手法について,検討を行った. 音声信号を咽頭部に密着させたマイクロフォンによって取得するものとした.マイクロフォンとして複数の種類を検討し,広帯域のものを用いることで,生体および飲食物の運動によって発生する音を計測した.計測された音声信号の処理は,音声信号の種類に合わせた特徴量抽出,主成分分析による次元圧縮,サポートベクターマシンによる教師あり学習により実施した.加えて,近年,対象によっては人の能力を凌駕する識別能力を発揮している機械学習手法である深層学習(Deep Learning)を用いることを試みた.GPUを用いた深層学習ライブラリを利用し解析を進める環境を構築し,音声信号の識別器の構築を進めた. また心血管系の生理情報解析のために,脈波と心電図を装着者に負担を与えずに取得する手法について検討した.過去の研究成果である足底からの心血管系計測技術を応用し,光電容積脈波と容量性結合による計測とそのデータ解析を実施した. 筋電位センサによる筋活動解析については,手元のセンサを用いた予備的計測実験を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施を計画していた個別の信号を取得するセンサ系の構築については,筋電位の計測による筋活動推定を除いておおむね順調に推移している.一方で,本課題の応募時の状況から飛躍的に発展した深層学習手法を取り入れることにより,信号解析の能力向上が見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
日常生活をサポートする出力インタフェースの構築として,スマートチョーカーはセンシングだけでなく出力機能を併せ持たせ,振動による触覚刺激による咀嚼支援と温度提示によるストレスの緩和支援を行う.周期的な振動触覚刺激は,リズムの同期現象(引き込み効果) を誘発することが知られている.本研究では,十分な咀嚼がなされているかをセンシングし,不十分であれば振動触覚刺激を与えることによって,咀嚼の誘発を促す.スマートチョーカーに小型振動モータを搭載し,計測された咀嚼周期に合わせて振動させる.また,頸部への温度提示により,温熱的快適感に変化が生じることが報告されている.提案デバイスによる心拍および脈波のセンシングから,装着者の緊張状態を推定し,緊張状態に応じてデバイスの温度を制御することでストレスの緩和を図る機能を構築する.
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Causes of Carryover |
平成28年度に購入予定であった筋電位センサについては,本研究とは別の研究プロジェクトで利用可能であったセンサを用いた予備的検討を行い,選定の後に購入するものとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
筋電位センサを購入する予定である.
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Research Products
(4 results)