2017 Fiscal Year Research-status Report
グラフ最適化を可能にする量子ビット表現に基づく遺伝子表現法とそれを用いた進化計算
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16K00318
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
森山 賀文 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (10413866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯村 伊智郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (50347697)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | QEA / 量子風進化計算 / 量子ビット表現 / 最大カット問題 / 個性導入法 / ノアの方舟戦略 / 進化計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成28年度は,量子ビット表現された遺伝子を用いる進化計算手法の適用範囲を拡張するため,グラフ最適化が可能な遺伝子表現法を提案し,グラフを解とする代表的な組合せ最適化問題の一つである最大カット問題を対象とした計算機実験を行った結果,限られた時間の中で近似解を発見することができた.平成29年度は,提案した遺伝子表現法について探索性能の解析を行い,量子ビット表現における確率振幅の収束状態が解探索の停滞に深く関わっていることに着目し,①量子ビットおよび最大カット問題の特徴を考慮した突然変異手法,および②量子ビット収束状態測定法を提案した.さらに,回転角度の調整に要する煩雑な作業の軽減を目的として,③量子個体への個性導入法を提案した. ①提案する2種類の突然変異手法提案を用いることで,過剰に状態|0>または|1>へと収束した量子ビットの確率振幅が拡散して母集団が多様化し,得られる解の精度が向上することが確認できた. ②提案する確率振幅の収束状態測定法を導入することで,ノアの方舟戦略などの母集団の多様性維持手法が適用可能となり,20ノードの比較的小規模な最大カット問題においては最適解発見率が向上し,800ノードの問題においては,QEAを用いた場合,解探索精度が向上した.また,探索アルゴリズムの特徴に応じて母集団を多様化することが重要であることが分かった. ③量子個体群における非一様な回転角度を個性とみなし,量子個体における3種類の個性導入法を提案した.計算機実験の結果,回転角度を厳密に調整した場合とほぼ同程度の解を探索することができ,回転角度の調整に要する煩雑な作業を軽減することができた.さらに,回転角度に関する多様性が高い個性導入法ほど,得られる解精度が向上することが分かった. これらの成果に関しては,国内学会および国際会議において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(平成28年度)に提案した遺伝子表現法について探索性能の解析を行い,量子ビット表現における確率振幅の収束状態が解探索の停滞に深く関わっていることに着目して,解探索性能の向上を図った.量子ビットおよび最大カット問題の特徴を考慮した突然変異手法,および量子ビット収束状態測定法に基づく母集団の多様性維持手法を用いることで,最大カット問題において解探索精度の向上を確認することができた.また,量子個体群における非一様な回転角度を個性とみなした個性導入手法は,回転角度を最適化した従来手法と同程度の解を得ることができ,さらに回転角度の調整に係る煩雑な作業を軽減できる.提案する量子ビット収束状態測定法および個性導入手法は,量子ビット表現を用いる進化計算手法であれば適用可能であり,最大カット問題を含むグラフ最適化問題だけでなく最適化問題全般への応用が期待できる. 以上を総じて,「おおむね順調」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年度は,これまでに得られた研究結果を踏まえて,提案手法の適用指針や限界などを含めた特徴について総括する.平成28年度から平成29年度の成果に上記の考察を加え,学術論文にまとめる.
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Causes of Carryover |
成果を発表した国際会議の開催地が近隣であったために,旅費を抑えられた.この経費節約は,研究遂行上の大きな問題とはならないと判断した. 「次年度使用額(B-A)」は,研究計画を誠実に遂行した結果生じたものであり,次年度において提案手法の検証および学術論文の投稿に係る消耗品費として使用する計画である.これによって研究がより進展することが見込まれる.
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Research Products
(5 results)