2017 Fiscal Year Research-status Report
レザバーコンピューティングシステムの数理的解析と最適設計
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16K00326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 剛平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (90444075)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レザバーコンピューティング / 非線形力学系 / ニューラルネットワーク / メモリスタ / スピン波 / デバイス / ハードウェア / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、時系列データの情報処理に適したレザバーコンピューティングシステムの数理的解析と最適設計をめざしている。レザバーとしては、従来よく使われてきたリカレント型のニューラルネットワークだけでなく、非線形性をもつ物理系も利用することが可能である。物理デバイスやハードウェアによってレザバーを実装しようとする試みもトレンドになりつつある。
本年度は、物理デバイスによるレザバー実装を念頭に置いて、物理レザバーコンピューティングの研究を重点的に行った。まず、抵抗変化メモリなどに用いられる回路素子であるメモリスタを利用したレザバーコンピューティングを考えた。こうしたメモリスタネットワークのレザバーは、すでに先行研究で提案されていたが、主に回路シミュレータによって数値実験が行われており、数理的な定式化がされていなかった。そこで、メモリスタネットワークのダイナミクスを記述する数理モデル(回路方程式)を修正節点方程式の方法を用いて導出した。このモデルは、メムダクタンスが磁束の関数として表現できるメモリスタモデルであれば、ダイレクトに適用可能である。次に、メモリスタ素子ごとの抵抗特性のばらつきを考慮して、メモリスタレザバーコンピューティングを波形分類問題に適用した。その結果、メモリスタの素子ばらつきは、ネットワーク構造や他の条件次第で、分類性能を向上させる良い効果をもたらし得ることが分かった。次に、スピン波を利用したレザバーコンピューティングシステムを提案した。スピン波がいくつかのレザバーとして機能するための条件を物理シミュレーションにより特定した。さらに、そうした条件の下で得られたスピン波を用いて、単純な機械学習タスクが解けることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メモリスタをナノスケールデバイスで実装してレザバーコンピューティングに利用することを考えると、素子ばらつきは不可避である。そして、素子ばらつきによって信頼性や再現性が揺らぐということが懸念されている。本研究では、まずメモリスタネットワークレザバーの数理的定式化を行っており、数理的解析に有用である。また、素子ばらつきがあっても、他の条件次第では、波形分類問題において高い分類性能をもつことを示しており、これはメモリスタネットワークレザバーにおける最適な設計の指針になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、メモリスタ―ネットワークやスピン波などの物理系を用いたレザバーコンピューティングの研究を進める予定である。今後の計画としては、これまでよりも高度な機械学習タスクや応用問題に適用すること、より現実的な物理モデルを用いること、レザバー自体の非線形力学的解析を行うこと、などが考えられる。また、様々な物理レザバーコンピューティングに共通する性質や異なる性質をあぶりだすことで、分野横断的な視点を与えることも目標とする。
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Research Products
(7 results)