2017 Fiscal Year Research-status Report
ソフトコンピューティングを用いた超音波魚肉評価検査支援システムの開発
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16K00348
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
徳永 憲洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 講師 (00432956)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超音波魚体スキャン装置 / 非破壊評価 / 自己組織化マップ / Bag of features / 放射基底関数ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は超音波検査と脳情報処理の技術を利用し,魚を殺さずとも体外から魚体内の肉の状態を見ることができ,かつ,魚肉の物性や肉質などの多面的情報を素人でも手に取るように理解・評価できるよう視覚化表示する「非破壊的魚肉評価・検査支援システムの開発」を目標とする.本年度の研究では,機械学習法を取り入れた脂肪量と歯ごたえの推定方法を提案し,実験により有効性を示した.本提案手法は自己組織化マップ,Bag of features, 放射基底関数ネットワークから成る.具体的には,魚肉から得られた超音波信号に短時間フーリエ変換を施し,得られた周波数スペクトルベクトル集合からキーとなる100個程度の代表ベクトルを自己組織化マップで生成する.その後,生成したキーをもとに魚サンプルから得られた周波数スペクトルベクトル集合のヒストグラムを作る(Bag of features).作られたヒストグラムを入力,魚サンプルの脂肪量および歯ごたえを出力(教師信号)とし,放射基底関数ネットワークを学習する(あるいは脂肪量等を推定する).提案手法の有効性を検証するためにマアジ36検体を用いた実験を行った.実験において,超音波魚体スキャン装置を用いて検体から超音波信号を得たのちに,魚肉の歯ごたえをテクスチャ測定器で測定し,さらに脂肪量を分析機関に依頼し測定した.これらのデータをもとに提案手法を用いて脂肪量と歯ごたえの推定値を評価した.本評価は交差検証で行った.その結果,脂肪量に関しては推定値と測定値の相関が0.89(p<0.05)であり推定精度が高かった.また歯ごたえに関しては脂肪量ほどではないが,推定値と測定値の相関が0.61(p<0.05)であった.またこれらの推定値は前年度に提案したIntegrated backscatter法による推定方法と比べると,推定精度が高いことが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画では,超音波から魚肉の脂質量などの物理量を推定するソフトコンピューティングを用いた方法の提案と有効性の検証が目的であった.提案手法として,ソフトコンピューティング手法である,自己組織化マップ,Bag of features,放射基底関数ネットワークを利用することで,高精度に魚肉の脂肪量と歯ごたえといった物理量を推定することができた.これらのことから,本研究課題はおおむね計画通りに進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
ハードウェアについてはより本研究の実験に適したシステムになるよう適宜改良をする。また歯ごたえについては推定評価が高くなかったため,これを解決する方法を探る.これまでの研究で信号の前処理を脂肪量と歯ごたえでは変えたほうが良いと考えている.また最終年度のため,これまでの研究成果を学会や雑誌等で発表する予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)国際会議での発表を予定していたが,予定に変更が生じたため. (使用計画)次年度直接経費総額(約950千円) 消耗品費(魚体スキャン装置の整備に関わる消耗品150千円,計算機消耗品130千円,文房具類他20千円); 旅費(学会発表国内 150,000円,学会発表 海外 300,000円; その他(学会参加登録費100,000円,論文掲載費100,000円)
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Research Products
(4 results)