2017 Fiscal Year Research-status Report
FDG-PETに基づく組織や臓器の構造的・空間的表現とがん診断支援への応用
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16K00411
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
戸崎 哲也 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70321461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FDG-PET / 4次元超曲面曲率 / 機能的特徴 / 形態的特徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,FDG-PET像から4次元超曲面曲率を算出し,得られた3種類の曲率に基づいて本来なら組織の機能をイメージングしたFDG-PETに対して構造的な表現を可能にすることを目標としている.昨年度は,FDG-PETの持つ曲率情報から異常を疑う高SUV領域の抽出手法に主眼を置いた.FDG-PETに対して4次元超曲面曲率を算出し,得られた曲率の絶対値の大きい順にk1,k2,k3とした場合,k1やk2ではリンパや腸管といった構造的に線状の陰影を有する陰影を描出することが可能となった.また,k3に基づくことで限局的にFDGが集積している箇所の陰影を描出することが可能であることを確認した.今年度では,それぞれの曲率に基づいて線状陰影や孤立陰影がどのように強調されるかの検証を行った.これは, 線状と球状のファントムを用いる実験とVisible Korean Data Setの大腿部解剖画像から繊維状の組織が既知である筋繊維を抽出する実験に基づいて行った.どちらの実験からも,曲率情報から組織の形状を特徴付けることが可能であることを明らかにした.さらに,今年度の取り組みとして曲率情報によって得られた高SUV領域から異常陰影の絞り込みを3次元的な特徴を利用して行うことに主眼を置いた.機能的観点と形態的観点から絞り込まれた陰影の特徴を数値的に表現することで,医師により悪性と判断されている陰影との距離を定量的に表現することが可能となり,医師の診断は付いていないが悪性陰影と似通った特徴を持つ陰影を提示することが可能となった.得られた成果は,SPIE Medical Imaging2017 , Image processing conference等にて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度では,異常陰影の絞り込みを行う手法に主眼を置いて研究を進めた.ここでは,FDG-PETに対して4次元超曲面曲率を算出し,その絶対値の大きい順にk1, k2, k3と定め,これらの値に基づいて異常を疑う陰影の抽出を行う手法を提案した.異常を疑う陰影とは,SUV値が周辺より高い領域のことを意味し,この領域を曲率に基づいて実現することを検討した.線状陰影と孤立する球状陰影を有するファントムに対して処理を行った結果,k1, k2では線状陰影を強調することが可能となり,k3では球状の陰影や分岐点を強調できることを確認することができた.さらに,実際の人体の大腿部解剖画像に対して曲率を算出し,k1, k2に基づいて抽出を行ったところ,筋状の大腿部筋繊維を抽出できることを確認し,処理の有効性を確認した.尚,人体解剖画像はVisible Korean Data Setからのデータである.この手法をFDG-PETに適用し,高SUV領域である領域を3次元的に抽出した.抽出された領域に対して個別にラベルを振り,機能的観点と形態的観点からそれらの特徴を数値表現した.機能的観点とは注目する領域内での最大SUVとSUVの分散であり,形態的観点とは球形度およびk3の値である.これらの特徴に基づいて,医師により悪性と判断された領域と他の領域との距離を算出することで,悪性と判断されていない領域で悪性に類似する領域を提示することが可能となった.使用した症例では,医師による診断は原発巣にのみ行われており,おそらく転移した病巣と思われる領域に対しては診断が行われていない.このような領域に対してがんの疑いが高いと提示でき,医師による診断の支援に期待が持てるものである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では,臨床的に悪性と良性の差を有意に表現できる指標の洗い出しについてさらに研究を進める予定である.現時点では,機能的観点と形態的観点について特徴を数値化しているが,転移巣と見られる陰影と原発巣(医師により判断されたがん陰影)とが決定的に同じ特徴を有するという結論には達していない.これらを診断に有効な材料とするためには,さらに有意な特徴を表現する方法を検討する必要があり,現在鋭意研究を進めている段階である.これには,症例数を増やし,部位ごとのがんの特徴をデータベースとして蓄えておく必要もあると考える.
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Causes of Carryover |
(理由) 予算執行はほぼ申請どおりの内容で行なったが,振込手数料等の関係で若干の残が生じた. (使用計画) 次年度では,文房具等の消耗品購入に充てる予定である.
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