2018 Fiscal Year Research-status Report
学校図書館における電子書籍利用環境構築のための実証的研究
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16K00443
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
植村 八潮 専修大学, 文学部, 教授 (50646304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 武悟 専修大学, 文学部, 教授 (80439520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学校図書館 / 電子書籍 / 図書館基幹システム / スタンドアロン型 / クラウドサーバー型 / システムベンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学校図書館において導入可能な電子書籍の利用環境構築のモデルを提示することを目的とする。そのためには、電子書籍が円滑に学校および学校図書館に導入できる環境(システム)の構築が不可欠である。一方、デジタル教科書の検討が進んでおり、電子書籍への関心も高まりつつある。しかしながら、学校および学校図書館において、電子書籍の取扱い環境やシステムについて検討は十分になされていない。 これまで学校図書館とベンダー(事業者)を対象に調査を行い、学校図書館における図書館基幹システムと利用インターフェースについて、現状と課題を明らかにした。また、学校図書館における図書館基幹システムの導入やその運用状況に注目し、学校図書館業務の情報化の状況を調査し、現状を明らかにした。これまでのところ、学校図書館における図書館基幹システムと利用インターフェースについて、現状と課題を明らかにすることができた。 さらに、学校図書館において導入しやすく、かつ図書館基幹システムとも連携可能な電子書籍システムのモデルとして、学校図書館とベンダーを対象とした調査を基に、専用端末によるスタンドアロン型と、パソコンやタブレットPCを用いたクラウドサーバー型の2タイプのモデルを提案した。前者はインターネット環境のない学校向けで、セキュリティ対策やメンテナンスが学校の負担とならない設計である。後者はある程度の規模・利用数にも柔軟に応じられるシステムで,アクセシビリティへの対応も考慮した設計である。この二つのモデルを協力を得た学校図書館で、教師並びに児童生徒に実際に使用してもらい検討した。 これらにより「教職員向けの研修プログラム」の必要性が明らかになり、具体的なカリキュラムを設計した。 また、新たな学校図書館向け電子書籍モデルが始まっていることから、導入校へのヒアリングを行い、問題点や改善点を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
システムベンダー(事業者)を対象に訪問によるインタビュー調査と、システム導入学校図書館へのインタビュー調査を平行して行い、学校図書館における図書館基幹システムと利用インターフェースについて、引き続き現状と課題を明らかにした。また、専用端末によるスタンドアロン型と、パソコンやタブレットPCを用いたクラウドコンピューティング型の2タイプのモデルを検討した。このモデルを協力校で、教師並びに児童生徒に実際に使用してもらい、以下の諸点について、それぞれ成果を得ることができた。 (1)学校図書館向け電子書籍利用の実証的検討、(2)学校図書館関係者向け電子書籍利用の研修プログラムの検討、(3)出版社を対象とした学校図書館向け電子書籍コンテンツ提供スキームの検討 協力校の教職員を対象としたアンケート結果からは、学校図書館への電子書籍の導入について「導入してほしい」が7割をこえた。一方で、電子書籍の利用にあたって、「機器の故障やトラブル」「ICT や電子書籍についての知識・スキル」「授業などで活用する方法スキル」などを不安視していることもわかった。こうした教職員の不安を解消でき、ニーズを充たすような内容の研修が必要であり、「教職員向けの研修プログラム」を検討、案として提示した。さらに、研修プログラム案をもとに、東京都内の私立学校などを会場に実際に公開型の研修会を5回に渡り実施して、効果測定を行うことができた。この結果を受けて、「教職員向けの研修プログラム」を改善した。 2018年度に複数の事業者から学校図書館向け電子書籍モデルが発表され、2019年度中にサービス開始する予定となった。これらのシステムが学校現場でどのように活用されるのか、具体的な検討を2019年度中に追加検証することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
学校図書館において導入可能な電子書籍の利用システムのモデル開発と実証実験が当初の予定より早く進み、その成果をいち早く公表したことで、より多くの評価を得た。この結果を受けて、2018年度に複数の事業者から学校図書館向け電子書籍モデルが発表され、2019年度中にサービス開始する予定となった。 これらのシステムが学校現場でどのように活用されるのか、具体的な検討を2019年度中に追加検証することとした。システム活用の成熟期間が必要なことから、2019年度夏頃を目途にヒアリングを行うこととした。 さらに授業活用が可能な「リファレンス連動型電子書籍モデル」を開発中で、この実証実験を追加で行うことで2019年度に総合的な提案とすることにした。
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Causes of Carryover |
2018年度に複数の事業者から学校図書館向け電子書籍モデルが発表され、2019年度中にサービス開始する予定となった。これらのシステムが学校現場でどのように活用されるのか、具体的な検討を2019年度中に追加検証することとした。システム活用の成熟期間が必要なことから、2019年度夏頃を目途にヒアリングを行うこととした。 これらの成果を受けて、当初提案予定だった「学校図書館向け電子書籍モデル」の開発を1年間繰り延べ、授業活用が可能な「リファレンス連動型電子書籍モデル」を追加機能としてモデル開発することとした。このシステム開発と実証実験を追加で行うことで2019年度に総合的な提案とすることにした。提案にあたっては、研究成果発表会と詳細な報告書を作成する予定である。
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