2018 Fiscal Year Research-status Report
ラーニングコモンズをマネジメントする「教育コーディネーター」養成プログラムの開発
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16K00444
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
上岡 真紀子 帝京大学, 学習・研究支援センター, 講師 (90723156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大学図書館員 / 情報リテラシー / インストラクションライブラリアン / ティーチングライブラリアン / 専門能力開発 / 研修プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が調査対象とする,米国の大学図書館における「情報リテラシーコーディネーター」の役割と能力に関して,米国図書館協会・カレッジ・研究図書館協会のインストラクションセクションから,従来の『インストラクションライブラリアンの技能基準』の改訂版として,2017年に新たに『ティーチングライブラリアンの役割と強み』が公開された。昨年度はこの動きを踏まえ,これまでにインストラクションセクションが作成してきた教育を担当する図書館員の能力に関する文書を収集し,それらの内容が歴史的にどう変化してきたか,また現在はどう考えられているかを検討した。その結果,教育を担当する図書館員に求められる役割は,1970年代以来の「教師」から,2000年代に登場した「コーディネーター」へと歴史的に発展し,現在では,7つの役割を持つ「ティーチングライブラリアン」として再定義され,全学のあらゆるレベルにおける日常的・継続的な教授・学習活動と,それらの改善活動の中で,情報リテラシーの局面から貢献する「情報リテラシーの専門家」とされていることが明らかとなった。 また,図書館とラーニングコモンズと図書館における協働やサービスデザインに関する最新の動向を把握するため,その専門会議であるDesigning Librariesに参加し,今後,訪問調査の対象とする図書館について情報を収集した。会議では,優れた取り組みを行っている複数の図書館のリーダーと情報を交換することができた。この中には,本研究が対象とする,「情報リテラシーコーディネーター」の研修プログラムの開発に関わった図書館員も含まれている。これら訪問調査,聞き取り調査の対象となる図書館と図書館員については,来年度調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が対象とする米国における「情報リテラシーコーディネーター」については,米国図書館協会・カレッジ・研究図書館協会が長らく研修プログラムを提供してきており,昨年度はこの研修プログラムを対象に訪問調査を実施予定であった。しかし,2016年にカレッジ・研究図書館協会が『高等教育のための情報リテラシーの枠組み』を公開したことに伴い,一昨年から昨年度にかけて,研修プログラムは開始以来初となる大規模な見直しが行われたため,予定していた現地調査を実施することができなかった。 そのため昨年度は計画を変更し,『枠組み』の公開に伴って2017年に改訂が行われた「教育を担当する図書館員」の能力基準の内容に焦点を当て,それらが歴史的にどう変化してきたかを検討した。結果では,今後の分析枠組みとなる視点を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,今年参加したDesigning Librariesで情報を得た5つの図書館を中心に訪問調査を実施する予定である。調査では,ラーニングコモンズの設置と学内の教授・学習の改善活動との関わりについて関係者への聞き取りを行う予定である。また,教育を担当する図書館員の研修プログラムについては,プログラム開発に関する文献収集を行うともに,初回からプログラム開発に関わった図書館員への聞き取り調査を実施するよう方針を変更した。これらも来年度実施予定である。また,昨年度の研究成果については,学会発表,および論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の調査対象であった「情報リテラシーコーディネーター」の研修プログラムが,大規模な改訂プロセスに入ったため,予定した観察と聞き取り調査を実施することができなかった。ただし,今年度参加した会議で,研修プログラムの開発担当者と話すことができたので,来年度,個別に図書館を訪問し,聞き取り調査を行う予定である。
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