2016 Fiscal Year Research-status Report
アクティブラーニング型授業における継続的な省察的実践環境の構築
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16K00492
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
喜久川 功 常葉大学, 社会環境学部, 准教授 (10440611)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 省察的実践モデル / eポートフォリオ / ラーニングデザイン / アクティブラーニング / LMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,効果的なアクティブラーニング(AL)型授業を実現化するためにラーニングデザインベースの「eポートフォリオを活用した継続的な省察的実践モデル」を構築し,本モデルの授業適用時に用いられる形式記述スキーマならびにLMSを開発した上で,LMSを用いた授業実践結果から本モデルの有効性を検証すること,さらには,得られた知見からAL型授業におけるeポートフォリオ活用の可能性やその効果等を明らかにすることである.平成28年度は,研究実施計画に従って以下のように研究を遂行した. 1.「eポートフォリオを活用した継続的な省察的実践モデル」の構築 本研究では,本目的を効率よく達成するために,研究代表者らが行っている「IMS-LD(Learning Design)規格を拡張して開発したダイナミックLMS(DLMS)」に関する研究過程で得られたアイデアや成果等も発展的に活用しようと考えた.そこで,DLMSを用いた授業設計・授業実践の場も利用しつつ,幅広く本研究に関する情報の収集・分析を行い,その上で「省察的実践モデル」の想定からモデル構築時に求められる要件の抽出を実施した.また,抽出した要件を満たすモデルを検討し,連携研究者や研究協力者等との議論も重ねながら,「省察的実践モデル(プロトタイプ版)」の構築を行った. 2.「形式記述スキーマ」の設計・開発 ここでは,まず,「省察的実践モデル(プロトタイプ版)」に対応した形式記述スキーマおよび本スキーマで作成された内容に基づき動作するLMSに関する具体的な検討を行い,その結果を開発仕様書等として取りまとめた.また,本開発仕様書等に基づき,形式記述スキーマの詳細(XMLスキーマ等)の設計・開発を行った.さらに,本スキーマの試用による「eポートフォリオを活用した継続的な省察的実践(本モデルの授業時適用)」の検証を試みた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,研究目的の達成に向け,【フェーズ1:「eポートフォリオを活用した継続的な省察的実践モデル」の構築】,【フェーズ2:形式記述スキーマとLMSの開発】,【フェーズ3:LMSを活用した授業の設計と実践】,【フェーズ4:モデル評価とまとめ】,以上4フェーズで研究を実施する予定となっている.平成28年度は,当初の研究実施計画の通り,【フェーズ1:「eポートフォリオを活用した継続的な省察的実践モデル」の構築】と【フェーズ2:形式記述スキーマとLMSの開発】における「形式記述スキーマの開発」を中心に研究を進めることができた.この点から,「おおむね順調に進展している」と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,まず,【フェーズ2:形式記述スキーマとLMSの開発】における「LMSの開発」を中心に研究を進める.ラーニングデザインのアプローチを援用した本LMSは,「エディット(作成)タイム」と「ラン(実行)タイム」の2ステップで活用される.そこで,「eポートフォリオを活用した継続的な省察的実践」の作成ツールと実行ツールを内包するLMSを開発する.さらに,システムの動作テストや負荷テスト等を実施し,問題点の精査からLMSの改良を図る.次に,【フェーズ3:LMSを活用した授業の設計と実践】へと研究を進めていく.ここでは,主に,「LMSを活用した授業の設計」を実施する予定となっている(「実践」については平成30年度に実施する予定).
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Causes of Carryover |
研究遂行のための柔軟な対応をした結果,平成28年度に予定した物品費・旅費・人件費等の金額を変更して使用した.その結果,以下のような理由から,次年度使用額が発生した. 理由①:謝金で支出を予定していた作業を個人事業者への業務委託としたことにより,結果として,謝金で算出した金額より低コストでの支出となった.理由②:スケジュール調整の結果,日本で開催の国際会議にて研究発表を行ったため,旅費の支出が想定していた金額の約半額となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り,物品購入(システム運用サーバや各種ソフトウェア等)や研究成果発表のための旅費(学会参加費も含む)等に使用する予定である.また,平成28年度同様,謝金から業務委託に変更して支出するといった柔軟な対応も取り入れたい.なお,次年度使用額分については,国際会議参加のための旅費・参加費に充当して使用したいと考えている.
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