2016 Fiscal Year Research-status Report
光合成細菌を利用した二酸化炭素と窒素固定反応によるPHA生産
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16K00593
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樋口 美栄子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (40443014)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 紅色光合成細菌 / 窒素固定 / ポリヒドロキシアルカン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒素固定能を検討するため、9株の紅色非硫黄細菌を窒素源を除いた寒天培地で培養した。その結果、6株は窒素源を除いた寒天培地で生育できることを確認した。液体培地での培養の結果、4株が窒素源を除いた培地で生育可能であることを確認した。今後はアセチレン還元法と15Nラベリングによる窒素固定活性の評価を進める予定である。 光条件としては、730 nmと850 nmにピークを持つLEDとハロゲンランプを用いて光質の生育への影響を検証した。その結果、初期成育には850 nmが有効で、後期の生育では730 nmの照射により良い生育を示した。これらの結果から、細菌の増殖により短波長の光は浸透しにくくなることが示唆された。また光強度について検証した結果、初期成育には50 W/m-2より強い光を照射すると良い生育を示すが、10日以上の培養では逆に強光条件では生育が悪くなることがわかった。 また、紅色光合成細菌の簡便な形質転換系の確立を目的として、紅色非硫黄細菌による自然形質転換能を検証した。まず各株のカナマイシン耐性試験を行い、選抜に最適なカナマイシン濃度を決定した。複数の株はカナマイシン耐性を示していた。カナマイシン感受性の株を用いて自然形質転換を試みたが、未だ成功には至っていない。今後はカナマイシン以外の抗生物質の使用、DNA量の増加・コンピテントセルによるヒートショック法・ペプチド法による形質転換を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9株の候補株のうち、窒素源を除いた培地での生育により、窒素固定能の高そうな株を選定できた。また生育に最適な光条件の検討も終了した。形質転換系の確立はまだ達成できていないが、当初から困難であることは予想していたので、進捗としては順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は窒素固定能を評価するため、アセチレン還元法と同位体実験を行う予定である。またコントロールとしてニトロゲナーゼ破壊株を作成する。また、形質転換についてはコンピテントセルによる条件検討・ペプチド法による遺伝子導入を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた備品の一部が、既に所属研究室で使用していた備品で流用可能であったため、当該年度においては新たに購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度得られた結果から、さらなる培養条件の検討を行うこととなった。そのため、培養にかかる試薬や消耗品等を購入する予定である。
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