2018 Fiscal Year Annual Research Report
PHA production by utilizing nitrogen fixation and CO2 fixation abilities of purple photosynthetic bacteria
Project/Area Number |
16K00593
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樋口 美栄子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (40443014)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 窒素固定 / 形質転換 / 紅色光合成細菌 / ニトロゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋性紅色光合成細菌の窒素固定能について検証するため、窒素ガスを唯一の窒素源とした条件における生育を観察した。その結果、数株の紅色光合成細菌については生育が認められた。光合成細菌においては、窒素のアンモニアへの変換はニトロゲナーゼという酵素によって行われる。ニトロゲナーゼの活性を評価するために、アセチレンとアセチレンの還元により生じるエチレンをガスクロマトグラフィーにより検出するアセチレン還元アッセイを行った。窒素制限条件下でよい生育を示した株は、高いニトロゲナーゼ活性を示していたことから、これらの紅色光合成細菌はニトロゲナーゼによる窒素固定により生育していることが示唆された。またニトロゲナーゼ欠損株を作成した。欠損株の解析により窒素固定の寄与について解析する予定である。 次に二酸化炭素を炭素源とした生育について検証するため、複数の還元剤と炭酸水素ナトリウムの濃度を検証したところ、8 mMチオ硫酸ナトリウムと20 mM炭酸水素ナトリウムの存在下において、最も良い生育を示すことがわかった。さらに、安定同位体で標識した炭酸水素ナトリウムのアミノ酸への取り込みを観察した結果、どのアミノ酸へも同様に取り込まれていることが明らかになった。 形質転換法については、光合成細菌を塩化カルシウムで処理することにより作成したコンピテントセルを形質転換に用いたところ、プラスミドの導入に成功した。さらに、マクロピノサイトーシスという多くの生物に普遍的に存在する細胞内への取り込み現象を利用することで、外来遺伝子を導入する新たな手法を開発した。培養液にマクロピノサイトーシスを誘起するペプチドを添加するだけという非常に簡便なものであり、紅色光合成細菌以外にも多くの生物種への応用展開が期待される。
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