2017 Fiscal Year Research-status Report
飲料抽出残渣からのファインケミカル発酵生産技術の開発
Project/Area Number |
16K00616
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
原 清敬 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40434378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 貴寛 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (20511728) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コーヒー粕 / 発酵 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本のコーヒー輸入量は約40万トン(生豆換算,2012年)であり、コーヒー飲料製造工場や喫茶店などからコーヒー抽出残渣(コーヒー粕)が大量に排出されている。コーヒー粕の多くは廃棄物として処分されているので、廃棄量を削減するため、燃料化や堆肥化などの取り組みが行われている。生コーヒー豆の成分の約40%は糖質なので、コーヒー粕にはセルロースやリグニン以外の多糖類も含まれている。また、コーヒー粕は他のバイオマス系廃棄物と比べて収集が容易なため、有用なバイオマス資源として期待されている。 コーヒー粕の有効利用を妨げる原因として、コーヒー粕に含まれるフェノール類の生育阻害作用(酵母、植物等)やセルロース成分の分解の難しさが挙げられる。一方で、麹菌の固体培養法を用いたコーヒー粕からのフェノール類除去、カビ由来の酵素を用いたコーヒー粕成分の分解の検討、黒カビの固体培養法を用いたコーヒー豆殻からのクエン酸の生産に関する研究が報告されている。しかし、コーヒー粕に含まれる多糖類の低分子化および生育阻害物質の除去に適した微生物の探索に関する研究はこれまで行われていなかった。 本研究では微生物が産生する酵素を利用してコーヒー粕を低分子化し、高付加価値品(食品添加物、機能性食品、医薬品等)を生産する酵母や乳酸菌の培養に利用することを目指し、コーヒー粕成分である多糖類およびフェノール類分解能を有する微生物の探索とその分解特性の評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
供試微生物をデンプンCD液体培地で回転振盪培養した結果、すべての菌株が増殖し、菌糸塊(カビペレット)を形成した。また、培養終了時におけるカビペレットの色は菌株によって異なり、A. oryzaeは黄土色、A. nigerは黒褐色、B1は白色であった。各液体培地の溶存有機炭素(DOC)と全糖の濃度は、培養終了まで減少し続けたが、グルコース濃度は培養開始に増加し始め、培養5日目に最大値を示した。A. nigerとB1のグルコース濃度の最大値は10 g/l以上に達し、A. oryzaeの濃度の約2倍になった。すべての菌株はデンプン糖化能を有していたが、グルコース濃度の変動に各菌株の特徴がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
供試微生物であるAspergillus属の各菌株は、コーヒー粕だけを添加した液体培地中でも増殖し、さらにコーヒー粕を低分子化およびフェノール類を分解することがわかった。本研究で得られた知見を踏まえて、野生株の探索を行い、コーヒー粕有効利用に役立つ微生物の獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究費で購入予定であった複数の消耗品について、納期が次年度であったため。
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Research Products
(3 results)