2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K00684
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山谷 修作 東洋大学, 経済学部, 教授 (00105024)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家庭ごみ有料化 / エコショップ制度 / 食べきり協力店 / 雑がみ回収袋配布 / コスト効果分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
家庭ごみ有料化の併用プログラムとしての「雑がみ回収袋配布」プログラムとエコショップ制度、エコショップの中でも近年食品ロス対策として自治体の関心を呼んでいる「食べきり協力店」制度について、2016年12月に実施した47都道府県と全国814市区対象アンケート調査の結果に基づくプログラム実施状況と課題、コスト効果の分析調査を行った。調査の結果、エコショップ制度の一部形骸化と食べきり協力店制度への自治体施策の重点シフト、プログラム実施対象事業の小売店型から飲食店型への変容の傾向を把握し、プログラム運用上の課題点を整理した上で活性化策を検討した。「食べきり協力店」運用上の課題として、登録店舗数拡大のための募集活動、協力店の認知度向上と利用拡大、若者層を呼び込めるキャンペーン、フォローアップによる制度改善を取り上げ、多数の自治体から訪問または電話による聞き取りを精力的に行って成功要因を明らかにした。一方、「雑がみ回収袋配布」プログラムについては、全戸配布を実施した都市の中から、岐阜市と京都市の協力を得て、回収または保管袋を全戸配布した場合の単年度ベースでのコスト効果分析を行った。分析手法として、プログラム実施コストとして袋作製費と配送費、これに対してコスト節減効果として雑がみ回収増加量に回避可能費用単価(可燃ごみ処理単価で代置)を乗じて得られる金額から集団回収補助金増加額を差し引いた、ネットのコスト節減額を用いた。両市について、全戸配布プログラムのコスト効果はかなり大きくなることが確認された。また本年度末には、第5回となる全国都市家庭ごみ有料化調査を実施し、一次集計をとりまとめた。実質的な調査分析は、次年度行うことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
家庭ごみ有料化の併用施策として意識啓発効果が期待されるエコショップや食べきり協力店、雑がみ回収袋配布プログラムといった奨励的ごみ減量プログラムの自治体アンケート調査および聞き取り調査については、アンケートの回答が全47都道府県と508市区から寄せられ、主要プログラムの運用に実績のある県や市区からの聞き取りにおいても詳細な情報や資料の提供を受けることができた。奨励的プログラムの全国規模での調査研究は研究代表者が13年前に実施した都道府県・全国市区アンケート調査以外に前例がなく、全国の自治体から関心を持たれている。今回の調査結果とその分析が自治体の奨励的プログラムの制度設計に裨益するところ少なからず、と考えている。研究の成果については、公益事業学会の大会と関東部会、廃棄物資源循環学会の年次研究発表会において発表し、レフェリー付き学会誌に論文を掲載した。また、調査の進展を受けて、廃棄物分野の専門雑誌『都市と廃棄物』(月刊)に2018年1月から毎号、研究成果を連載している。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度末には、家庭ごみ有料化に関する全国都市アンケート調査を実施し、一次集計をとりまとめた。2018年度においては、この調査の併用施策や手数料水準とのクロス集計も実施し、併用施策の有無とごみ減量効果との関連性、手数料水準とごみ減量効果との関連性、さらには有料化実施時期区分別のごみ減量効果の検証など、これまでほとんど知られることがなかった知見や、これまで把握が難しかった多数の有料化自治体サンプル数での分析に挑みたいと考えている。また、今回の有料化調査では、2000年度以降に手数料水準や手数料制度を改正した都市が10数市あることを受けて、これら価格・制度変更都市に対しても変更前後のごみ排出原単位の推移データを提供してもらっている。手数料水準引き下げ後も、ごみ排出原単位が増加していない都市もあり、家庭ごみ有料化の意識改革効果をデータ分析により検証したいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由) 当年度の調査研究活動がおおむね順調に遂行できた段階で6万円余りの使用残が生じたことによる。 (使用計画) 次年度の調査研究活動において早い時期にデータ集計委託費で使用することを予定している。
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