2016 Fiscal Year Research-status Report
共働き家族における母親の子育て・家事のゲートキーピングとキャリア形成
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16K00742
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中川 まり お茶の水女子大学, 学生・キャリア支援センター, 准教授 (00649634)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共働き / 母親 / 母親ゲートキーピング / 父親家事・子育て参加 / 母親のキャリア形成 / 性別役割分業意識 / 母親の収入 / 子育て期 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は次年度計画の質問紙調査の準備として、母親のゲートキーパーとしての家事・子育てにおける行動が、父親の家事・子育て参加、および母親のキャリア形成といかに関連するかについて二次データ分析およびグループインタビュー調査を実施した。二次データ分析では、研究代表者が2015年に末子が小学生以下である共働きの母親300名を対象に実施した「共働き夫婦における家事・子育てに関する調査」結果を用い、共分散構造分析を行った。分析の結果、次の5点が明らかになった。1.共働きの母親における家事のゲートキーピングは3つの概念(因子)から構成される。第一は家の掃除、家計、食事などの管理である。第二は、父親の家事参加への促進で、父親の家事を褒め、教えることである。第三は統制であり、父親に家事を頼む、父親が行った家事をやり直す、けなすことから構成される。2.母親の家事のゲートキーピングとしての促進行動は、父親の家事参加をより多くするが、管理という行動は、父親の家事参加をより少なくしている。3.ゲートキーピングとしての母親の家事の統制は、子ども数が少ないほど、性別役割分業意識がより伝統的であるほどより強まる。そして父親への家事参加に対する促進は、母親の性別役割分業意識がより非伝統的であり、年齢が若いほど強い。5.加えて母親のゲートキーピングとキャリア形成との関連について、キャリア形成の成果としての収入は、教育年数や性別役割分業意識、勤務時間の要因のほかに、母親から父親への家事参加の促進によって、夫の家事が多くなり、それを経由して母親の収入はより多くなることが明らかになった。グループインタビュー調査は、正社員である共働きの母親6名を対象にした。母親はキャリアを継続することと家庭役割を同等に重視し、夫婦間で家事分担の取り決めが上手くできているほどキャリア形成の意識も高いことがうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画として、平成29年度の質問紙調査の準備のための二次データ分析、インタビュー調査などを計画通り実施した。これらに基づいて質問紙調査作成に向けた仮説などを生成でき、計画通りの質問紙調査の準備を行うことができた。また学会発表および投稿も計画数を上回ったため、全体として計画通りの進捗状況であるためおおむね順調に進展している、とした。 学会発表および論文の投稿については、国内学会発表3回を計画していたが1回とし、代わりに韓国での国際学会でのポスター発表1回を行った。これにより日本の研究成果を海外に発信することに貢献できたのではないかと考えている。投稿論文は、学会誌への研究ノート1回のみの投稿を計画していたが、計画より2本多く、1本の依頼論文掲載と2本の論文投稿を行い、計3本を執筆した。依頼論文は、日本家政学会家族関係学部会『家族関係学』35号への「女性活躍推進とワーク・ライフ・バランスに関する政策動向」1本である。投稿論文の1本は、女性活躍推進法と女性のキャリア教育に関するものであり、投稿したが未掲載となった。投稿論文の2本目は、母親の家事のゲートキーピングとキャリア形成に関する論文であり、現在審査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、次の3点を計画している。第一は、平成28年度に実施したフォーカス・グループ・インタビュー調査結果に基づいた質的研究の論文もしくはノートを執筆することである。子育て期の母親がどのようにして家庭内労働の分担を夫と進める、もしくは進められずに、自らのキャリアをデザインしているのかについて研究を行う。先行研究では、共働きの母親のキャリア形成においては、夫の家事・子育ての協力が重要であることが示唆されてきた(永瀬・山谷 2012)。こうした研究も踏まえて母親自身がいかに工夫して家事・子育てを夫と分担しながら、キャリアに対してどのような意識を抱いているのかを検討する。さらに男女雇用機会均等法が施行されて女性の社会進出が定着している時代である30歳~40歳代の母親のワーク・ライフ・バランスへの意識についても仮説を立てる方針であり、以上は平成29年度に実施する。第二として平成29年度には、この質的研究で生成された仮説に基づき「共働きの夫婦における家事・子育て分担と母親のキャリア形成」に関する質問紙調査を実施する。この質問紙調査では、研究計画にも示したように、母親の家事・子育てのゲートキーピングが母親のキャリア形成および父親のワーク・ライフ・バランス、子どもの社会性の発達を取り入れて実施する。また父親のワーク・ライフ・バランスおよび家庭内労働の分担に関連して、どの程度の家事・子育て行動の頻度が「十分な参加」であるのかについても明らかにする。この質問紙調査は費用面で可能であれば、母親および父親で実施する計画であるが、母親だけでの調査も視野に入れている。第三は、平成29年度に実施した質問紙調査の研究成果の発信である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として2,209円が余った理由は、平成28年度における研究経費としての消耗品などが予定より効率的に使用することができたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2,209円は、文具・消耗品などに使用する計画である。
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Research Products
(4 results)