2018 Fiscal Year Research-status Report
食品の機能成分と抗ウイルス薬の併用:薬剤耐性の克服とインフルエンザ予防は可能か?
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16K00853
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
渡邊 健 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (00346909)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 機能性食品 / 抗ウイルス活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の抗インフルエンザ薬は、永く使用していくうちに耐性ウイルスが出現することが大きな問題であった。一般に、作用機序の異なる二剤以上の併用により薬剤耐性の出現を抑えることができる可能性があるため、既存の抗ウイルス薬に対する薬剤耐性出現を防ぐために抗ウイルス効果のある食品と薬剤を併用することが効果的ではないかと仮説を立て実証を目指している。 これまでに薬剤耐性インフルエンザウイルスの出現を抑えるための新たなストラテジーとして薬剤耐性の出にくい新規阻害剤の開発を行った。インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼは、既存の抗インフルエンザ薬の作用標的であるノイラミニダーゼ(NA)と異なり配列が高度に保存されていることに着目し、PA-PB1サブユニット間の相互作用を阻害するキノリノン化合物PA-49を見出し、論文発表を行い国際特許(PCT)出願を行った。抗インフルエンザ作用をもつ食品として落花生に着目した。落花生の薄皮抽出液を作成, in vitro抗ウイルス活性を測定したところ、ポリフェノール含量と抗インフルエンザ活性は相関していた。薄皮抽出液は様々な亜型のインフルエンザウイルスに効果を示し、NA阻害剤であるタミフル、およびM2イオンチャンネル阻害剤アマンタジンと併用した場合に相乗効果を示すことがわかった。これにより、食品と抗ウイルス薬の併用が効果的であることが明らかとなった。この成果について学会発表を行い、論文投稿を行い受理された。 また、抗インフルエンザウイルス作用を示す天然物を食品に限らず広く探索するために、経口摂取が可能な生薬として漢方薬に着目した。漢方薬エキスについて、すでに知られている効能によらず幅広くスクリーニングを行った結果、大黄甘草湯に抗インフルエンザ活性を見出した。責任生薬は大黄であることを突き止め、論文投稿を行い受理された。また、研究期間を平成31年度(令和元年度)まで1年間延長することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属機関が平成31年4月より変更となった。そのための準備で平成30年度後半の研究進捗が予想より進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長し、4年間の研究とした。平成31年度(令和元年度)は最終年度にあたる。まず新規所属の研究機関での研究環境のセットアップを早急に行い、残る課題である薬剤耐性ウイルスの出現抑制を検証するための実験系の確立に努める。
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Causes of Carryover |
研究代表者は平成31年4月より研究機関を異動となった。そのため新たな実験環境で研究課題を遂行するために必要な実験消耗品、器具、備品類を平成31年度(令和元年度)に購入する予定としたため次年度使用額が生じた。平成31年度(令和元年度)は最終年度であるため、早急に実験環境を整え全額経費を執行する。
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