2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00881
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
田中 清 京都女子大学, 家政学部, 教授 (90227132)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ビタミンB12 / ホモシステイン / ビタミン不足 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンは、その欠乏により、古典的な欠乏症を起こすが、近年それより軽度の不足であっても、疾患リスクを増加させることが注目されている。ホモシステインは、メチオニン代謝の中間代謝産物であり、ビタミンB12や葉酸不足により、高ホモシステイン血症をきたす。高ホモシステイン血症は、心血管障害や骨粗鬆症性骨折、認知機能障害など様々な疾患を引き起こす。近年、高ホモシステイン血症が身体機能を低下させることが報告されてきているが、ホモシステイン、葉酸、ビタミンB12と身体機能の関連についての結果は一致していない。高齢者における身体機能の低下は転倒リスクや骨折を増加させるため、栄養素の身体機能への影響を調査することは非常に意義があると考え、本研究を行った。 京都府下の高齢者施設5施設における、施設入居高齢者入居者および利用者86名において血液中ホモシステイン、葉酸、ビタミンB12濃度の測定、身体機能指標として下肢筋力、握力、歩行速度の測定を実施した。身体機能指標の解析は性差と女性の比率が高いことを考慮して女性のみで行った。 血漿ホモシステイン濃度の第3三分位では第1三分位よりも有意に握力が低かった(p=0.027)。また、血清葉酸濃度の第1三分位では第3三分位よりも有意に握力が低かった(p=0.002)。有意水準には達しなかったが、下肢筋力は血清葉酸濃度の第3三分位では第1三分位(p=0.061)、第2三分位(p=0.057)よりも高かった。しかし、重回帰分析において年齢以外では血清葉酸濃度のみが有意な寄与因子であった。また、血清葉酸濃度、ビタミンB12濃度の両方が中央値以上の群では下肢筋力が有意に高値であった。 高齢女性において血清葉酸濃度が低いことは身体機能低下に対してホモシステインとは独立した危険因子であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度ビタミンB12不足が骨粗鬆症性骨折リスクに及ぼす影響について研究を行った。今年度はその成果を承けて、高齢者の筋力・日常生活動作に及ぼす影響を検討した。高齢者における運動器の健康維持におけるビタミンB12の役割について、おおむね順調に成果を挙げているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度・今年度の成果を踏まえて、高齢者の健康維持におけるビタミンB12の重要性をさらに広く調査するとともに、ビタミンB12不足をきたす原因に関しても、検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
血液検査外注費用にかなりの金額を要するものとして、当初計上していたが、予想を下回る支出ですんでしまったため、次年度使用額を生じた。
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Research Products
(4 results)