2016 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う睡眠障害性代謝異常のメカニズムの解明と時間栄養学的予防・改善方法の開発
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16K00940
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究グループ長 (50338688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 体内時計 / 時間栄養学 / 生活習慣病 / 時計遺伝子 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食リズムの乱れによる代謝異常の分子メカニズムを解明するために、高インスリン血症と高レプチン血症に着目してマウスを使った研究を行った。非活動期のみに給餌を行う時間制限給餌の結果、インクレチンGLP-1の過剰分泌が誘導されることを明らかにし、GLP-1の過剰分泌によって高インスリン血症が誘導されている可能性が考えられた。摂食リズムの乱れが、短期間のうちにレプチン抵抗性を惹起している可能性を検証するために、10日間の時間制限給餌の後にレプチン投与を行い、摂餌量及び体重の減少効果を調べた結果、活動期の時間制限給餌では、レプチン投与による摂餌量や体重の減少が認められたのにもかかわらず、非活動期の時間制限給餌では、レプチン投与による影響が認められず、レプチン抵抗性が惹起されている可能性が示された。さらに、レプチン抵抗性の惹起が、非活動期の時間制限給餌による肥満の誘発に関与している可能性を明らかにする目的で、レプチン抵抗性のモデル動物であるdb/dbマウスを用いた検討を行った。その結果、db/dbマウスでは、明期時間制限給餌による肥満の促進が観察されず、レプチン抵抗性が、何らかの形で摂食リズムの乱れによる肥満に関与している可能性が示された。 時間栄養学的代謝改善法の開発においては、魚油のもつ脂質代謝改善機能に着目し、摂取時刻の違いによる機能性への影響を明らかにする目的で、マウスを用いた検討を行った。脂肪肝やメタボリックシンドロームの原因と考えられている果糖過剰食を自由摂取させ、朝食時間帯(朝摂取群)あるいは夕食時間帯(夕摂取群)にのみ魚油を含む果糖過剰食に切り替えた。朝摂取群では、夕摂取群に比べ、血中及び肝臓中の中性脂肪量や、脂肪酸合成系遺伝子の発現量が有意に減少していた。朝食時の魚油の摂取により、その機能性が高まるものと期待された。今後はそのメカニズムの解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室の引っ越しに伴うトラブル等の影響により、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の加速化を目指し、大学院生の積極的な参画を促す。
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Causes of Carryover |
研究室の引っ越しに伴うトラブル等により、実験が中断した期間が数ヶ月間あった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大学院生の積極的な参画を促すことにより研究を加速化する計画である。
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