2018 Fiscal Year Research-status Report
プログラミング教育を核としたエンジニアリングデザイン教育と社会連携教育の実践
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16K00987
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
稲垣 宏 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (40213110)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プログラミング教育 / 社会連携教育 / エンジニアリングデザイン教育 / 教育支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「プログラミング教育」を通して,「エンジニアリングデザイン能力」を育むための「問題解決型学習環境」の構築とその実践を行う。また,この取り組みに「社会連携」を取り入れることで,「社会人の再教育」あるいは「子供向け科学教室」といった社会貢献活動につなげていく。
【エンジニアリングデザイン教育の実践】教育現場における実践的な課題に対して,「ICTを利用した解決法を提案し,情報システムとして実装していく」体験を通して,エンジニアリングデザイン能力を育成する。今年度の主な実績として,(1)ロボット型スマートフォンを利用した音声対話型学習支援システムの開発,(2)複合現実デバイスを利用した「『思考・判断』の『表現』」を支援するシステムの試作,(3)「複合現実空間におけるプログラミング体験システムの開発,(4)VRを用いた体験型歴史学習システムの開発,(5)メガネ型ウェアラブルデバイスを利用した受講生の行動情報計測システムの開発,(6)プラレールを用いた「手順的な自動処理」体験システムの開発,などが挙げられる。 【社会連携教育の実践】小中学生のものづくり活動を支援する「豊田市ものづくりサポートセンター」との連携を進め,「サイエンスクラブ」とよばれる中学生対象の理科教室において,「計測・制御プログラミング体験」「スマホアプリの開発体験」をテーマに,2日間の講座を企画・運営した。センサーを利用して,画面上のキャラクタの動きを制御したり,スマホアプリを自作したりと,多様なプログラミング体験を通して,「情報技術」への興味を喚起した。その他,地域の製造業の企業技術者(主に機械系の技術者)を対象に,仕事帰りに参加できる夜間講座として,「組み込みプログラミング入門」セミナー(2日間)という実習ベースの講座を企画・開催した。こうした取り組みを通して,製造現場のIoT導入を支援していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「エンジニアリングデザイン教育の実践」のテーマにおいては,今年度,6種類の教育支援システムの開発に取り組み,プロトタイプ版をほぼ完成させることができた。 また,「社会連携教育の実践」のテーマにおいても,これまでに築き上げてきた自治体との連携をさらに推し進めることができ,社会連携による「中学生を対象としたプログラミング体験講座」を企画・運営し,好評のうちに終えることができた。さらに,地域の製造業の企業技術者を対象とした「組み込みプログラミング体験講座」の企画・運営にも継続的に取り組み,受講者の意見をフィードバックすることで内容をブラッシュアップし,高い評価を得ることができた。こういった継続的な活動により,本校が,地域のIoT人材育成の拠点として徐々に認知されるようになってきた。 以上のことより,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
「エンジニアリングデザイン教育の実践」においては,新しい情報デバイスを利用した学習環境の創出を目指し,引き続き,新規の学習・教育支援システムの提案および開発を進めていきたい。そして,そこでの問題解決に至るプロセスを通して,学生たちの「エンジニアデザイン能力」の向上を図っていきたい。次年度は,(1)ロボット型スマートフォンを対象として,それらを活用した教育・学習支援システムの可能性について,さらに踏み込んだ検討を行い,プロトタイプシステムの開発を進めたるとともに,(2)フィジカルコンピューティング教材の開発や,(3)プログラミング学習のモチベーション向上に向けた新しい教材開発などのテーマについて研究を進めていきたい。 また,「社会連携教育の実践」においては,地域との多面的な連携を進め,多様な組織を巻き込んだ「社会共創教育」の実践例を増やしていきたい。とくに,幅広い層を対象とした「IoT人材育成のための効果的な教育手法」を探っていきたい。
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Causes of Carryover |
「次年度使用額」が生じたのは,ロボット型スマートフォン(2台)の保守契約を見直したことにより,保守費用が当初の予定より下がったためである。 翌年度分の助成金と合わせて,システム開発用パーソナルコンピュータを新規に購入することで,開発作業の効率を上げたいと考えている。
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